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2021.07.16 08:00

まるでアクション映画。カンヌグランプリに輝いたラコステが伝えたかったこと

CROCODILE INSIDE(クロコダイル・インサイド)の動画より


ドラマティックでアクション満載の動画


90秒ほどのこの動画はカップルが激しく言い争っているシーンから始まる。バックに流れる音楽は、1950年にエディット・ピアフによって初めて歌われた有名な「愛の讃歌」だ。
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動画が始まって24秒頃、2人の心の乖離を現実化するように、部屋にヒビが入りビルが割れていく。32秒頃、2人はそれぞれ階下へ。その間も、建物は崩れ落ち続ける。42秒頃、下の階まで降りてきて、さらに離れて遠くから見つめ合う2人。すると男性の側の床が崩れ、彼は階下に落ちていく。

60秒頃、その姿を見て、男性のいる側にジャンプする女性。あやうく落ちかける女性の手を取る男性。しかし、手を握りあった瞬間、床が激しく傾斜、手が離れ、2人は別々に滑り落ちて行く。

75秒頃、地上に降り立ち、男性が先を走り、後から女性が追いつき、抱擁した瞬間、建物が2人の上に崩れ落ちて来る。しかし建物が崩れ去っても2人は無事で、瓦礫の中で抱き合っている。その場面に「愛の讃歌」のサビの部分の「愛する人よ、あなたが私を愛してくれるなら」という歌詞が重なる。
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抱き合う2人がクローズアップされたところに、「LIFE IS A BEAUTYFULL SPORT」のコピーと「LACOSTE」の文字とワニのマークが現れ、最後に「#CROCODILE INSIDE」というハッシュタグが表示される。

「LIFE IS A BEAUTYFULL SPORT」というコピーがあることで、このアーティスティックであり、ドラマティックなアクション満載の動画は、スポーツに出自を持つファッション・ブランドのラコステ、その広告コミュニケーションとしてしっかりと成立している。

ラコステはファッション・ブランドなので、商品性からしてアーティスティックな側面もあり、広告コミュニケーションがその傾向を強く持つのは、当然と言えば当然かもしれない。

前述したように筆者は、世界の最先端では、より広範なタイプのブランドが、単にプロダクトの機能の優位性を伝えるのではなく、そのブランドがまとう雰囲気や思想や方向性までをも広告コミュニケーションで指し示す時代となりつつあると考えている。

今年のカンヌライオンズのフィルム部門でクランプリに輝いたラコステの90秒のテレビCMに接して、さらにその考えは強いものとなった。

連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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文=佐藤達郎

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