ブランソンは英タイムズ紙で、彼のライバルが実は顧客であることを明かしている。マスクはヴァージン・ギャラクティックが将来行う宇宙旅行のチケットを購入していたのだ。
実は、マスクはブランソンの初期の支援者のひとりだった。ギャラクティック社の元幹部によると、彼がチケットを購入したのは2006年にまでさかのぼるという。
2004年から2010年までヴァージン・ギャラクティックの社長を務め、現在は業界団体U.K. Spaceのプレジデントを務めるウィル・ホワイトホーンは、「私はイーロン・マスクに宇宙旅行のチケットを売った」と、フォーブスの取材に明かした。
マスクは、スペースXを設立してから4年後にデポジットを払っており、通常のレートであれば、彼は約25万ドルを支払ったことになる。これは現在世界第3位の富豪にとってははした金だが、2006年当時のマスクにとっては大金だった。
マスクがチケットを購入したのは、スペースXが経営危機にあった時期だった。同社はファルコン1の打ち上げに3回失敗していたが、その第一弾が2006年のことで、その後2008年に成功していた。マスクはその当時、「資金が枯渇しそうになっていた」と述べていた。
ギャラクティック社は、2022年に有料の顧客を乗せた宇宙旅行を実施すると述べている。
ブランソンは2004年にギャラクティック社を設立したが、その当時からブランソンとマスクは意気投合していた。「2004年の冬、私はイーロン・マスクと一緒に議会に出席し、商業宇宙打ち上げの修正法案を可決させた」とホワイトホーンは振り返る。
「彼は、リチャードと同じように、宇宙は人類を救うために有益な場所だというビジョンを持っていた」
マスクは飛行当日にブランソンの自宅を訪問
ギャラクティック社は、チケットを購入した顧客の名前やその価格を公表していないが、ケイト・ウィンスレット、トム・ハンクス、ジャスティン・ビーバーなどの著名人が購入済みであると報道されている。
同社の最新の四半期報告書には、顧客からの入金額として8300万ドルが記載されており、約300人の人々が、7分ほどの無重力状態を体験する90分の旅に申し込んだと推測できる。
しかし、ギャラクティック社が同社の目標である年商10億ドルを達成するのは、まだ先になりそうだ。同社が2022年に実際に商用飛行を開始した場合の収益予測は約5000万ドルであり、2020年の報告書では2億7300万ドルの純損失を計上している。