このほかにもフィットネスなどに用途は拡大しており、「人々が一緒に時間を過ごすようなソーシャルな用途へと急ピッチで拡大している」とザッカーバーグは話した。そしてVR/ARは「PCやスマートフォンに続く、主要なコンピュータプラットフォームになると信じている」とも将来を展望した。
さらに、フェイスブックは、将来的に仮想空間である「メタバース」が多数でき、メタバース間をテレポートできる世界を描いているともコメント。「バーチャルなオフィスがあり、そこにテレポートしてミーティングをするような空間」をフェイスブックは構築しているという。
クリエイティブエコノミーの土台を目指す
そのVRよりもさらに「タフな挑戦」とザッカーバーグが言うのがARだ。ARは現実にあるモノの上に情報を重ねて表示する技術で、フォームファクタはメガネ型のことが多い。
「タフ」とする理由は、「スーパーコンピューターをメガネに搭載するようなもの。十分な処理能力が得られると同時に、熱を持たないようにしなければならないし、充電持続時間も考慮しなければならない」からだという。そして「今後10年で最も面白い技術的チャレンジ」ともザッカーバーグは言い切る。
完成形が見られるのは当面先かもしれないが、実現への模索は始まっているらしい。ザッカーバーグは昨年発表したレイバン(ルックスオティカ)との提携に基づき、2021年中にレイバンブランドのスマートメガネを発表すると述べた。「まだARメガネとは言えないが、テクノロジーの要素が入る。面白いユースケースがある」とも予告した。
VR/ARが普及すると、われわれの生活はどのように変化するのだろうか。ザッカーバーグはその問いにはこう答えた。
「メタバースの世界では、たくさんのデジタルグッズが出てくる。デジタルの洋服かもしれないし、サングラスかもしれない。そう考えると、現実世界には本当に物理的には必要ないものがたくさんある」
その例として、アートやTVなどを挙げ、「これらはデジタルのホログラムに置き換えることができる」と述べた。
さらに進めば、開発者やクリエイターなど創造力のある人が3D開発ツールで思い思いのデジタルグッズを作成し、メタバースの中で販売することができる。出荷も物流も気にすることはない。これをザッカーバーグは「クリエイティブエコノミー」とし、「生活のためにやりがいのない仕事をするのではなく、本当に自分が好きなクリエティブなことで生活ができることに近づく」と未来社会の予想図を提示した。
「そのためには素晴らしい体験が必要だし、収益化できるためのツールも必要」とザッカーバーグは述べ、フェイスブックが進化しようとする方向性を示唆して、Viva Techへのオンラインでの参加を締めた。