15日には英国議会の下院でも、北京五輪の外交ボイコットを求める動議の審議が行われる予定だ。動議では「下院は2022年冬季五輪について、大規模な残虐犯罪に関与しているとみられる国で開催されるべきではないと考える」とし、中国政府が新疆での残虐行為をやめ、英国の議員や市民、団体に科した制裁を解除しないかぎり、英政府の代表は招待を辞退するよう求めている。
動議で言及されている「大規模な残虐犯罪」というのは、新疆のウイグル族らに対して行われているとされる、ジェノサイドや人道に対する罪を指す。具体的には殺害や収容所への大量収監、そこでのレイプや性的暴力などの虐待や拷問、親と子どもの引き離し、不妊手術や妊娠中絶の強制、強制労働などが含まれる。
中国政府はこうした残虐行為を否定しているが、証拠が増えるにつれて、中国側の主張は聞き入れられなくなっている。
外交ボイコットの呼びかけは、大会に参加する選手に影響を与えるものではなく、外交官らに対して、欠席を通じて、新疆などでの残虐行為は容認できないという強いメッセージを送るよう求めるものだ。
実際、英議会のウイグルに関する超党派グループは「(外交官らが)今回の五輪に出席すれば、中国政府がこれらの犯罪を行えるようにし、ウイグル族らの被害を軽んじることになってしまう」と指摘。ナチ政権下のドイツで開催された1936年のベルリン五輪を引き合いに、「大規模な人権侵害を行なっている体制に、評価を浄化する手段として五輪を用いることを再び許してはならない」と訴えている。
同様のボイコットはほかにもいくつかの議会で提案されている。中国政府は今こそ譲歩し、国内の人権状況の改善に取り組むべきだ。