以前、保険証券が2枚あるから大丈夫と言っていた家庭で、いざ被災して保険証券を確認したところ、2つとも「家財一式」に入っていたという例もあった。火災保険は被害額に上限があり、保険金額までのお金を受け取れるしくみだから、2つ入っていても被害額以上の額は受け取れない。この入り方では、建物が受けた被害については全く損害保険金を受け取れない。
「建物」には入っていたものの「家財一式」には入っていないという持ち家の家庭の場合は、「家財一式」にも火災保険を付けるかどうかはそれぞれの判断となる。追加で入りたいときは、「建物」の火災保険の担当者に依頼してもいいし、ネットなどを利用して他社で「家財一式」だけ契約するのもありだ。
「車」の補償は「車両保険」のプランをチェック
車の保険についても再確認しておきたい。「河川が氾濫し車が流された」「台風による高潮で車が水没し故障した」「集中豪雨による道路の冠水が原因で車に不具合が生じた」などの被害が発生したとき、自賠責保険にしか入っていない人は、自費で修理したり、買い替えたりするしかない。
自分で「自動車保険」を契約している場合でも、「車両保険」を付けていなければ、車自体に生じた損害について保険金は受け取れない。とはいえ「車両保険」に入っていれば万全かというとそうでもなく、「一般型」以外の契約では補償されないケースもある。
大事なのは「車両保険」の補償内容だ。全社で用意されている「一般型」なら基本的にオールマイティ補償だから、豪雨による洪水や土砂崩れによって車が損害を被った場合も、修理代を保険金でカバーできる。エンジンまで水に浸かるなどで修理不能となった場合や、損害が大きく修理代が保険金額を超えた場合は全損となり、保険金額の全額を受け取れる。
しかし、「エコノミー型」となると少し微妙になる。各社やプランで補償内容の組み合わせが異なり、必ずしも補償対象になっているとは言えない。補償範囲を限定する代わりに手ごろな保険料のプランとして用意しているのが「エコノミー型」で、主流の表の例1のパターンであれば補償対象になる。
出所:各社ホームページをもとに筆者作成
だが、自分で補償内容を選択できるプランなどでは、例2や、例1との中間のようなプランで契約しているケースもあるため、豪雨による洪水や土砂崩れによる損害が補償対象となっていないものもある。