コロナ後の米国で人手不足、失業者が急いで動かない理由とは

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今秋には、求人市場はある程度は通常の状態に戻ると予測されている。9月には、学校が対面での授業を再開する。これは、子どもの預け先の問題に頭を悩ませてきた親たちにとっては、仕事を探す後押しになるはずだ。デイケアセンターも再開する。時間の経過と共にワクチン接種が進めば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への恐怖心も消え去るだろう。

また、仕事から遠ざかっていたあいだに、自己啓発に努めていた求職者たちもいる。この期間を使って、新しい仕事を覚えたり、学校に通ったり、新たなキャリアに向けて方向転換を図った人も多い。さらには、会社を立ち上げたり、ギグエコノミーの世界に参入したりした人もいるはずだ。

労働者有利の状況が一変する可能性も


一方で、インディードのエコノミスト、ニック・バンカー(Nick Bunker)は、「『労働者側が条件交渉の主導権を握る、新たな時代が始まりつつある』との見方に対して、私は非常に懐疑的だ」と語る。「この秋には、高賃金や諸手当などの好条件が消滅し始めてもおかしくない」

さらには、近い将来、労働者有利の状況が一変する可能性もある。事業者は現在、賃金を上げ、1000ドル以上のサインオン・ボーナス(入社時に支給する一時金)を提示している。こうした企業が、値の張る労働者をテクノロジーで代替できないかと考え始めるのは時間の問題だ。



ファストフードチェーンなら、顧客がマシン経由でオーダーが可能なキヨスク(タッチパネル型の注文用端末)を導入するだろう。こうした店舗では、顧客はウェイターやウェイトレスではなく、テーブルに置かれたデバイス経由で注文を行うことになる。

また、工場やフルフィルメントセンターはすでにロボット技術を取り入れており、今後はさらにこの動きが加速するとみられる。スーパーマーケットのほか、ターゲットやホームデポなどの大規模小売店では、店舗に足を運ぶたびにセルフレジが増えているのに気づくはずだ。

長期的に見れば、企業はこうしたテクノロジーの導入によるコスト削減効果を実感するようになるだろう。導入時のコストは一度きりのものだ。ソフトウェアや人工知能(AI)、ロボットやテクノロジーは、労働組合を結成することはない。また、長期休暇や病気、トイレ休憩などでシフトに穴を開けることもないからだ。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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