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一部の企業は、新型コロナウイルス対策として失業手当が増額されたことが、求職者が新たな仕事に就こうとする意欲を奪っていると批判している。これに対し、ジョー・バイデン大統領率いる現政権は、この問題の解決は簡単だと主張する。「もっと多くの賃金を払えばいい」というのが、バイデン大統領の言い分だ。

だが、問題解決はそれほど容易ではない。労働市場は現在、非常に流動的になっている。これだけ多くの求人がある状況では、今の仕事を辞めてほかの仕事を探すのも簡単だ。この「大辞職時代(Great Resignation)」とでも言うべき時代の流れに後押しされ、離職する人の割合は記録的なレベルに達している。

インディードによると、求職者が職探しを先延ばしにしている理由としては、以下のような要素があるという。

・調査回答者のうち約25%は、新型コロナウイルスへの感染を恐れており、ワクチンの接種率が上昇するのを待って仕事に復帰したいと考えている。

・急いで職を探していない理由として、20%以上は金銭的な余裕を、約12%は失業手当を挙げた。

・育児も大きな要素で、家族の面倒を見るために自宅にとどまっている人の割合は、低賃金労働者では20%に達した。


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率直に述べるなら、低賃金労働は大多数の人にとって不愉快なものだ。仕事はきつい上に、昇進の余地もほとんどない。尊厳を重んじられず、敬意を払われないこともしばしばだ。最低賃金かそれ以下のカネしか稼げない場合、税金のほか、通勤や子どもを預けるためにかかる費用、その他の仕事に関連する出費を差し引くと、手元に残される額はごくわずかだ。

そうした人たちの判断に納得がいかないという人もいるかもしれないが、数時間ごとに5分間しか休憩が取れない環境で、倉庫で重い段ボール箱を運び回る仕事を選ぶくらいなら、増額されている失業手当を受け取りながら今後の身の振り方をじっくり考える方が、理にかなった対応に思われることは確かだ。

「こうした仕事は、あまり好条件とは言えない」と、ワシントン大学セントルイス校所属のエコノミスト、スティーブン・ファザーリ(Steven Fazzari)は述べる。「業務はきつく、賃金はあまり良くないからだ」

翻訳=長谷睦/ガリレオ

新型コロナアメリカ経済

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