コロナ後の米国で人手不足、失業者が急いで動かない理由とは

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米国では、求人が激増しているにもかかわらず、それに応募する労働者が現れない状況となっており、事業者やエコノミスト、メディアが総じて首をひねっている。レストランや小売店、各種の実店舗は、追加の人手なしではとても需要に対応できない、と悲鳴を上げている状態だ。

この不可解な状況を解き明かす手がかりとなるのが、大手求人情報サイトのインディードが5000人を対象に実施した調査だ。それによると、「求職者の多くは、急いで就職する必要性を感じていないと回答している」という。調査結果から浮かび上がるのは、「失業者は今すぐ仕事を見つける必要を感じていないが、今後3カ月のどこかで次の仕事に就きたいと考えている」という現状だ。

積極的に職探しをしているのは10%


・求職者は、新たな仕事を急いで見つける必要性を感じておらず、今後数カ月のあいだに職探しのペースを上げるつもりだと回答している。

・求職者の大多数は、今後3カ月のあいだに次の仕事に就きたいと考えている。ただし、急いで職を探していると回答した人のなかでも、「新たな仕事を見つけたとしても、すぐに職場に復帰するつもりはない」という人たちが20%以上を占めている。

・失業者の多くは、今後職探しのペースを上げる主な要因として、新型コロナワクチンの接種率上昇、貯金の目減り、今秋に予定されている学校での対面授業の再開を挙げた。

・求職者のうち、すぐにでも職に就く必要があり、積極的に職探しをしていると回答した人の割合は、わずか10%前後だった。

・回答者の45%は、求職活動に関して受け身の姿勢で、近い将来に仕事に就きたいとしながらも、具体的な活動は何もしていないという人の割合も30%に達した。

米国経済は、コロナ禍の暗黒期を抜け、劇的に好転しつつある。だが残念ながら、職を失い、いまだに職に就いていない人の数も約900万人を数える。

その一方で、米労働省の雇用動態調査によると、全米の求人件数は4月時点で約930万人にまで激増している。民間調査機関のコンファレンスボードが6月29日に発表した6月の米消費者信頼感指数でも、仕事が「豊富にある」と回答した人の比率は55%近くと、記録的な高水準に達した。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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