ワクチンの効果低下で「ブースターを急ぐべき」、FDA元長官が指摘

元FDA長官のスコット・ゴットリーブ博士(Getty Images)

元FDA(米国食品医薬品局)長官のスコット・ゴットリーブ博士は7月11日のテレビインタビューで、米国でのワクチンのブースター(追加免疫)接種の承認が急務であることを強調した。博士によるとイスラエルでは昨年末に接種を受けた人々の間でワクチンの効果が低下しており、ファイザーは同社のワクチンのブースター接種の許可を8月中にFDAに申請しようとしている。

CBSニュースの「Face the Nation」に出演したゴットリーブは、イスラエルでのワクチンの効果の低下は、12月に接種を行った高齢者に多く見られていると述べ、米国でも老人ホームの入居者や医師がその時期にワクチンを接種していたと指摘した。

また、ワクチンの効果の低下は、急速に広まっているデルタ株によってさらに悪化している可能性が高いとゴッドリーブは指摘した。

ファイザーの取締役を務めているゴッドリーブは、同社が7月8日に発表したブースターの許可申請について、「秋にブースターを開始するためには、直ちに承認プロセスを開始する必要がある」と述べ、夏に発生する感染の波の前に、国がフォローアップを行う「時期を逸した」可能性が高いと話した。

また、英国やイスラエルなどが、70歳以上の高齢者などへのブースター接種をすでに決定済みであることを引き合いに出し、「米国は少し遅れている」と指摘した。

ゴットリーブの発言の数時間前にイスラエルの保健省は、ワクチンの接種から6ヶ月を過ぎた頃から効果が薄れ始めていることを示唆するデータを発表していた。ただし、専門家の間からは、その結論を導くのはまだ早いとの声もあがっている。

CNNの番組「State of the Union」で、米国の感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士は、現状のデータは追加接種が必要でないことを示していると話したが、今後米国で追加接種が必要になるか、なるとしたらどのような場合かを判断するための研究が進行中であると述べた。

ファイザーは7月12日に米国保健当局とブースターの承認申請に関する会合を行う予定だが、ゴットリーブは、FDAとCDC(米国疾病予防管理センター)の承認プロセスには数ヶ月がかかると述べている。

FDAは8日の声明で、「完全に予防接種を受けたアメリカ人は、現時点ではブースターを必要としない」と述べていた。

編集=上田裕資

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