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米国発、次世代金融動向を読み解く


トレンド4:DeFi(分散型金融)のモメンタム


「DeFi(ディーファイ)」とは、仲介業者を介さない、スマートコントラクト(契約の自動化)をベースにした分散型金融の仕組みのことを指す。例えば、仲介業者なしに取引が遂行されるDEX(分散型取引所)や、分散型の暗号資産の貸借サービスが注目を集めている。

DeFiの市場規模は、スマートコントラクトにロックされた合計額TVL(Total Value Locked)で表されることが多く、5月初めのピーク時には一時1000億ドル以上まで急成長した(イーサリアムベースとバイナンススマートチェーンをベースとしたDeFiのTVLの総計)。利回りの良いDeFiサービスに保有する暗号資産を割り当ててお金を稼ぐ人たちは「イールドファーマー」と呼ばれている。

DeFiの爆発的な成長は、それを支えるテクノロジーの成熟化に加えて、ガバナンストークンの配布などを通した経済的インセンティブの設計が大きく影響を与えると言われている。

またDeFiは「マネー・レゴ」とも言われるように、個々のDeFiアプリケーションを玩具のレゴを組み合わせるように、新たな金融サービスの組成が可能な「コンポーザビリティ(構成可能性)」という特徴を持っている。


(出典:Arcane Research, 5月4日時点)

これまでDeFiの基盤技術としてイーサリアムがデファクト・スタンダードだったが、イーサリアムが抱えるさまざまな課題(スケーラビリティ、ガス代の高さなど)を解決するために、新たなブロックチェーンプロジェクトが数多く登場してきている。イーサリアムでもこれらの問題の多くを解決するETH2.0という新バージョンへの移行が進んでいるものの、今後スマートコントラクト分野での基盤技術の競争はさらに激化すると思われる。

日本ではDeFiが出遅れている感があるが、最近新たな業界団体(Japan DeFi Alliance)もでき、今後動きが活発化することが期待される。

トレンド5:混沌とした暗号資産規制状況


世界における暗号資産規制の動向は混沌としている。スイスでは分散台帳関連法が21年2月から施行され、金融機関によるデジタルトークンの取り扱いの枠組みが明確化され、暗号資産の先進国としての存在感が高めている。スイス政府は、いわゆる「クリプトバレー」と呼ばれるツーク市への海外暗号資産企業の誘致に積極的に取り組んでいる。

一方で、一部の途上国では暗号資産の規制を厳格化する動きも見られる。直近では中国がビットコインのマイニングや取引に対する規制強化の動きに出て、市場に大混乱をもたらした。また、人口の32%が暗号資産を保有または使用した経験があり、暗号資産の個人利用が世界で最も普及されているといわれるナイジェリアでは、同国の中央銀行が、金融機関が暗号資産取引等のサービスを提供することを禁止して物議を醸した。

最近ではトルコ政府も暗号資産の規制強化に動き出し、インドでも政府が今後暗号資産を全面禁止する方針であることが報道された(その後、禁止から規制へと変化)。そんな暗雲が立ち込める中、南米エルサルバドルではビットコインを法定通貨として認める法案が可決され注目を集めた。


(出典:スタティスタ)

文=吉川絵美

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