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米国発、次世代金融動向を読み解く


さらに、「Nifty Gateway(ニフティ・ゲートウェイ)」のようなNFT取引所を介した二次流通を通して、所有者が変わっても販売額の一部がロイヤルティとしてアーティストに入ってくる仕組みも可能となった。最近ではツイッター共同創業者ジャック・ドーシーの最初のツイートが競売にかけられるなど、アートだけはなく、「価値をもつ」と市場に判断されたものであれば、何でもNFT化されてきている。

直近のNFT売買総額規模は数百億円に上り、これらのトークン化された資産の一部は「DeFi(分散型金融)」において借り入れのコラテラル(担保)などに使われるようになってきている。一度、ブロックチェーン上で資産がトークン化されると、DeFiなどさまざまな分野にシームレスに応用できるようになり、まさにお金の枠を超えた「価値のインターネット」の世界が広がりつつある。

トレンド3:暗号資産の環境負荷に対する懸念と取り組み


21年の年始からのビットコインの価格急騰によって、ビットコインの年間換算の電力消費量は一時140TWh(テラワット時)以上に上昇した。これは、スウェーデン全体の年間の電力消費量よりも多い電力量で、19年から一気に2.5倍以上も増加したことになる。これはビットコインの価格上昇によって、マイニング(採掘)の競争がより激しくなることで、マイニングの難易度がより高くなり、それによって消費される電力量が上昇したのが原因だ。

これに対して、ビル・ゲイツはビットコインの環境への影響に言及。また米財務省のジャネット・イエレン長官も「非効率な仕組みである」と批判した。さらに、5月12日には、テスラCEOのイーロン・マスクが、ビットコインの環境負荷への懸念により、車両購入のビットコインでの支払いを停止すると発表。市場に大きな影響を与えると共に、暗号資産業界の中でも環境問題についての活発な議論が行われるようになった。

一方で、マイニングをいっさい使わない暗号資産も増えてきている。代表例として、筆者が勤務するリップルが国際送金ネットワークの中で活用する暗号資産XRPの基盤である「XRP レジャー」では独自の取引承認アルゴリズムを使い、マイニングなしに分散型で取引を承認できる仕組みを採用している。それによって、年間の電力使用量は79万kWh(キロワット時)と低く、1取引当たりの消費量はビットコインに比べて12万分の1に留まっている。

さらに、リップル、ロッキーマウンテン研究所、エナジーウェブ(NPO)の三組織が提携し、「EW Zero」というブロックチェーンの脱炭素化を加速化させる仕組みを開発した。具体的には、当該ブロックチェーンを活用するユーザーやステークホルダーの誰もが、グリーン電力証書を購入することで二酸化炭素(CO2)をオフセットでき、そのブロックチェーンの脱炭素化に寄与することができる。この仕組みによって、XRPレジャーは20年10月に世界で初めて脱炭素化したブロックチェーンとなった。

さらに、21年4月には“暗号資産業界のパリ協定”とも言える、「暗号資産気候協定(Crypto Climate Accord)」が発足。25年までに世界中の全てのブロックチェーンを100%再生可能エネルギー化するという野心的な目標を掲げた。今後ブロックチェーンの脱炭素化はよりいっそう緊急課題として議論されていくはずだ。

文=吉川絵美

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