ワクチン否定論者に私たちはどう対処するべきか

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新型コロナウイルスのワクチン接種が世界各国で進む中、一部の国ではワクチンの普及を阻む要因が「供給」の問題から「需要」の問題へと移行している。多数の人が接種を全面的に拒否したり、2回目の接種を受けなかったりして、集団免疫達成の目標が危ぶまれているのだ。

テクノロジー否認主義は、長年にわたり研究されてきた。しかし情報入手がどんどん容易になっている今の時代、少数の無責任で愚かな人々に影響されたとみられる膨大な数の人が、自分自身の命のみならずコロナ流行の終息を脅かしていることは、とても容認できるものではない。こうした人々は、社会をつなぎとめる規範を壊しているのだ。

数十億回のワクチン接種が行われた結果、分かったことは何だろうか。それは何よりもまず、ワクチンの有効性が高いということだ。100%有効なワクチンなど存在しないが、新型コロナウイルス用に開発されたワクチンは100%に近い効果を上げている。米疾病対策センター(CDC)のデータによると、4月中旬の時点でワクチン接種を終えた人の99.992%は感染を完全に防ぐことができ、感染した0.008%の人もほとんどが無症状か軽症だった。

つまり、現在コロナで亡くなっている人の大多数は、ワクチン接種をしていない人だ。これだけでも、ワクチン否定論者が奇想天外な説を捨てる上で十分なはずだ。ワクチンを接種しなければ、死亡する確率が間違いなく高まる。さらなる証拠が必要ならば、ワクチンのおかげで病床のひっ迫が解消されたことはどうだろう。ワクチン否定論者は、これらの事実をどう説明するのか?


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ワクチン接種で体が磁力を帯びるようになることなどない。汗ばんだ肌にスプーンをくっつけるトリックにだまされているような人は、精神科を受診すべきだ。また、ワクチンにマイクロチップが含まれていることもない。そもそもワクチンと一緒に注入できるほど小さなマイクロチップなど存在しないし、たとえあったとしても、ワクチンは小瓶1本に数回分が入れられており、1回分の注射にマイクロチップを確実に入れることなどできない。

ワクチンはまだ実験段階にあるなどという説もあるが、これは間違いであり、ワクチンは徹底的に試験されている。また、ワクチンによってDNAが書き換えられることもない(ワクチンは細胞内の核膜に浸透してDNAに到達することはできない)。
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編集=遠藤宗生

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