大橋悠依と「勝負水着」、メダルに向けた選手とメーカーの二人三脚

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競泳用水着の開発は、コンセプトの設定から素材や技術の開発、仕様・デザイン決定、市販化準備、さらにはFINAへの承認申請、水連や選手との契約等々、細部にわたる積み重ねが必要になる。何年もかかる大プロジェクトで、多くが五輪周期で行われる。

ミズノは、前回のリオ五輪の前後でアメリカでの事業展開に取り組んでおり、その成果が現れつつあるのだという。

「これまで、アメリカの大学生選手たちはNCAA(全米大学体育協会)の規定で特定のメーカーとの契約ができなかったので、契約関係にはないのですが、今回私たちが調べたところでは、米男子代表選手の中でミズノがトップシェアでした。

『フィットする』『タイムが出る感覚』と彼らの中で評判が高まり、“魔法の水着”とも呼ばれていたようです。ただ、水着の機能や品質以外の要素で契約が決まってしまう現実もあり、厳しい戦いは続きます」

舞台は世界水泳、そしてパリ五輪へ


3年後のパリ五輪では、どのような選手たちが、どんな水着を着用するだろうか。日本代表選手、世界のトップ・スイマーたちと、その泳ぎを支えるメーカーのチャレンジがまた始まる。

東京大会で偉業を達成した大橋選手は、現時点ではパリ五輪への出場は未定のようだが、来年5月の福岡・世界水泳では彼女の泳ぎが見られそうだ。そして、池江選手の眼差しはすでに次の目標に向かっているという。

「早い段階で根本的なコンセプトを確認したいと、すでにパリに向けての打ち合わせが始まっています」


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文=小林信也(作家・スポーツライター) 編集=宇藤智子

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