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Photo by Mustafa Yalcin/Anadolu Agency via Getty Images

「東京五輪に向けて、不安はすべてなくして臨みたい」

競泳の大橋悠依選手は、大会前から繰り返しそう言って、水着に関して相当なこだわりをみせていたという。

日本が27個の金メダルを獲得した今回の東京五輪、大橋選手は、序盤戦で日本チームに勢いをつけた立役者のひとりとして間違いないだろう。大会3日目の7月25日、女子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得。28日の女子200メートル個人メドレーでも優勝し、2冠に輝いた。

「彼女とはこれまでずいぶん座り込んで話し合いました」と話すのは、ミズノで競泳選手のサポートを担当する藤田さんだ。「肩が動かしやすいこと、レース中に胸や背中からプールの水が“気になる入り方をしない”ことなどが、大橋さんから求められた課題でした」

日本の競泳選手たちは現在、国際水泳連盟(FINA)の承認を受けた製品で、日本水泳連盟がオフィシャルサプライヤーとして認定する3社およびサポートサプライヤーの水着の中から、各選手が自由に「勝負水着」を選べる決まりになっている。大橋選手は東京五輪でも、長年愛用しているミズノの水着を選んだ。

水着といえば、かつて「着れば速くなる」と話題となった高速水着が業界を席巻した。「レーザー・レーサー」と言えば記憶にある方も多いのではないだろうか。

しかし、ラバー素材の使用が禁じられ、公平性を保つルールが採用されて以降は、特定の水着を着ると著しく記録が伸びるといった現象は見られなくなっている。厳しく定められたルールの中で、メーカー各社は、動きやすさ、着心地のよさ、水の抵抗感の軽減など、それぞれテーマを掲げて開発競争を展開している。

素材やデザイン、設計のこだわり


その中でミズノが大切にしているコンセプトが「フラットスイム理論」だ。

「泳ぐときに、身体が水面と平行になるように保つ機能を重要視しています。一般的には下半身が沈んでしまいがちなのですが、脚や腰が落ちて姿勢が斜めになると、水の抵抗が生まれてしまう。それを防ぐために、下半身が下がらないように素材やカッティングなどを工夫して、浮力をサポートしています」


(c) Mizuno Corporation

この“フラットスイム”をコンセプトに開発した「GX」シリーズは、最も日本代表選手の使用率が高いという(ミズノ調べ。2013年~19年の日本代表選手、出場種目数ベースの使用率)。ロンドン五輪の後、2013年に発表したソニックラインというカッティングが好評なのだそうだ。

大橋選手もフラットな良いポジションで泳ぐことが一番重要と考えていて、「お腹のサポートも効いていて、上半身が浮いているような、下から軽く支えられている感じがする」と話している。

文=小林信也(作家・スポーツライター) 編集=宇藤智子

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