メジャーリーグ(MLB)の選手としての大谷の年俸は、フォーブスの「最も稼ぐMLB選手トップ10人」に入る金額ではない。だが、その大谷はMLBに移籍してわずか4年で、すでにスポンサー契約料ではトップに躍り出ている。フォーブスの推計では、金額は少なくとも年間600万ドル(6億6000万円)にのぼる。
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日本のアシックスや日本航空、セイコー、米国のスポーツアパレル・メーカー、ファナティクスやメガネ・サングラスブランドのオークリー、スポーツカードのトップスなどと結んだスポンサー契約は、日米両国で大谷が収めた大きな成功を証明するものだ。
野球界が喉から手が出るほど待ち望んでいた「グローバルなアイコン」としての大谷には、MLBを悩ませる「大きな空白」を埋めるチャンスが与えられている。だが、唯一の問題は、大谷自身にその機会を収入に変えたいという気持ちがあるかどうかだ。
厳しい選択眼
日米で大きな成功を収めた日本人アスリートは、大谷が初めてではない。シアトル・マリナーズのレジェンド、イチローは2012年、年俸1700万ドルに加え、スポンサー契約から700万ドルの収入を得た。
今年4月にゴルフ4大メジャー大会のひとつ、マスターズで優勝した松山英樹は、ゴルフ以外からの収入を2倍以上の約2000万ドルに増やすとみられている。
また、テニスの大坂なおみは2020年、年収およそ3700万ドルで史上最も稼ぐ女性アスリートとなり、そのうち約3400万ドルがスポンサー収入だった。さらに翌年には自らその記録を破り、年収を約6000万ドルに増やした。コート以外での収入はこの年、およそ5500万ドルとなった。
ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社トランスインサイトの代表、鈴木友也は、「大谷は彼自身が望めば、イチローや松山と同じくらい稼ぐことができると思います」と語る。
「唯一の問題は、彼にそうする意思がないことです。彼はスポンサー契約については、非常に厳しい目で相手を選んでいます。数多くのオファーを断ったと聞いています」