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ボツリヌス菌が作る毒素から作られるボトックス注射は、美容目的や機能的役割を持つ薬品として広く活用され続けている。

ボトックス注射は数十年前から存在し、顔の老化を示す初期の兆候であるしわを減らす、あるいは防ぐことさえできる人気の方法だ。ボトックス注射は、眉の周囲や額、笑ったときにしわができる部分や目の周囲の小さな筋肉を、おおむね約3~6カ月間一時的にまひさせることで効果をもたらす。

老化に勝る代替策はないし、年を取ることに関するネガティブなイメージは有害で多くの場合不正確なため、多くの人は老化にあらがうよりも老化を受け入れるべきだと感じていて、それは正論だ。ただこのような老化防止策が健全なものかどうかは別として、医療目的のボトックス注射はこれまで最小限の侵襲性で非常に高い効果を上げてきた。

医療用ボトックス注射は、ほぼ全ての医療分野で患者の役に立つことがこれまで分かっている。

神経学的な問題を抱える成人や小児患者の間では、ボトックス注射が唾液分泌過多症(唾液が過剰に分泌されて自分の唾液を飲み込めなくなる症状)を緩和できるし、痛みを伴う筋肉のけいれんが体中に生じ弱っている場合にも効果がある。また偏頭痛も緩和され、声帯や上気道の障害にも機能する。

こうした使用法は、最初は死を招くもの、その後しわのない顔を手に入れるためのぜいたくな薬品と考えられるようになったボトックス注射の革新的な効能の一部の例に過ぎない。

しかし、ボトックスがうつ病を緩和することはあるだろうか? ここでの疑問は、年を取りしわが増えたことによる憂鬱な気持ちがボトックス注射により緩和されるかどうかではなく、しかめっ面をするときに使われる筋肉が一時的にまひし、作り笑いが強いられることにより結果的に憂鬱な気持ちが減るかどうかだ。

ドイツと米国を拠点とする研究者らは精神医学研究ジャーナル(Journal of Psychiatric Research)に今年発表した調査で、ボトックスが眉間のしわ、さらにはうつ病の症状に与える影響を評価した複数の研究をレビューした。

ボトックスは、眉の中央上部(眉間)に注射することで眉を下げることにより生まれる深いしわを防ぐことができるし、額上部に注射をすれば眉を上げることによってできる水平方向のしわを防ぐことができる。

人が作り笑いをするだけでより幸せに感じることは、50年も前にさかのぼる複数の研究から示されている。そのため現在の研究グループは、顔をしかめることにより憂鬱な気持ちになる悪循環をボトックス注射が断つことで、うつ病の緩和につながる可能性があると主張している。

翻訳・編集=出田静

メンタルヘルス

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