前田:SHIBUYA CITY FCが発行したトークンの二次流通取引での5月の出来高は約7000万円。販売した当初は2円台だったトークンの単価が、一気に100円を超えし、最高500円超になるほど、とても活発に取引が行われました。コミュニティメンバー数もFiNANCiE内で最大の人数になっています。
また、SHIBUYA CITY FCの二次流通取引の活発化をきっかけに、FiNANCiEの二次流通マーケットで一時期かなりの取引が発生するなど、フィナンシェ全体への反響も多くありました。
SHIBUYA CITY FCの「FiNANCiE」上のマーケットページ
ITリテラシーの高い層にリーチ 将来性に期待感
──これだけの反応は見込めていましたか。
小泉:もともとこれだけの反応があることは想定していました。クラブのサポーターは渋谷区在住の方々や渋谷で働いている方々、またスポンサー企業の大半は渋谷区の企業です。サポーターやスポンサーの特性として、好奇心旺盛な方々が多く、ITリテラシーが高いという特徴があります。だからファントークンのような新しいものにも前のめりに反応してくれたと思っています。
感度が高く、アンテナを張っている方たちが周りにいる実感があったので、大々的に打ち出さずに日々コミュニケーションを取っている方たちにお声がけすることで、トークンの取引が活発になるイメージを持っていました。
なので、最初に設定したリターンはグッズなどのプレゼントよりも、クラブ運営に関わる投票権やイベント参加権など、応援の気持ちでトークンを購入してもらうプランを充実させました。私たちは、これからJリーグを目指す過程でサポーターやトークンの保有者が増えていくポテンシャルがあります。チームの将来性に期待してもらえるようなメッセージ性を強めた発信を行いました。
フィナンシェCOO 前田英樹
──クラブトークンの運営側としては、この反響をどのように捉えていますか。
前田:小泉さんのお話の通り、チームに対する将来性の期待に加えて、ITリテラシーの高いコミュニティが身近に存在していたことに、これだけ反響のあった要因があると思います。さらに、SNSで関心を持った人の外側のネットワークに伝播していく状況が生まれ、単純な観客動員数では計り知れない効果がありました。
フィナンシェの仕組みとしては、二次流通のマーケットにいつでも誰でも簡単に参加できて、トークンの流動性が高くなるような土台があったことがうまく作用しました。コミュニティメンバーへのアプローチをアプリ内で行えることも情報発信やコミュニティ形成の面で大きかったと思います。
また、ブロックチェーンを活用した取り組みは、クラブ側が自発的にマーケティングすることで、トークンの価値が上がったり、コミュニティが盛り上がったりするので、そうしたインセンティブがうまく働きました。小泉さんを始めとしたSHIBUYA CITY FCのみなさんの発信がすごくわかりやすくて、情報が広がっていきました。
最近のNFTブームでクリエイターたちが自ら活用することでNFT自体の価値の向上に繋がっているように、トークンの面白さをどう世の中に伝えていくかが大きな課題で、まだまだ伸びていく素地があります。