サッカークラブトークンの熱狂 渋谷の社会人クラブ「1000万円売上」の裏側

日本でも熱気を帯び始めているサッカークラブトークンのコミュニティ。なぜ社会人クラブが注目されるのか(shutterstock)


──SHIBUYA CITY FCのクラブトークンを通じた新たな取り組みについて教えてください。

小泉:ひとつはオフィシャルグッズをオンラインショップから購入していただいた方にトークンをプレゼントする企画を行っています。アパレルブランドとコラボしたTシャツなど、グッズをより充実していくことを考えているので、グッズの購入をきっかけにトークンに興味を持っていただけるといいなと思っています。

また、2つ目はYouTuberやタレント、インフルエンサーとの連携です。先日「Channel MAKIHIKA」のマキヒカさんというYouTuberにクラブの公認サポーターに就任していただいたんですが、これから影響力のある方々に協力していただきながら、トークンを活用したクラウドファンディングを広めていきたいと思っています。

将来的には、地域に根づいた企画もできるといいですね。トークンを持っていると渋谷区内での飲食が割引になる、とか。渋谷区に拠点を持っているクラブだからこその取り組みを展開していきたいです。

コミュニティ内の高いエンゲージメント


──フィナンシェを利用して、トークンを発行してのメリット・デメリットはどのように感じていますか。

小泉:トークンの取引が行われることで出る収益面とアプリ内で新しいコミュニティ層にリーチができることにメリットを感じています。コミュニティメンバー3000人のうち、2000~2500人ほどがSHIBUYA CITY FCのことを知らなかった人たち。アプリ上で色々なコメントが飛び交っていて、認知もない小さなクラブなのに新たなファンを獲得してエンゲージメントが高いことに驚きと手応えを感じています。

今後ほかのスポーツクラブがフィナンシェを利用し始めると思うんですが、その中で私たちが先進的な事例を作っていくことで、クラブの価値を高められるんじゃないかとポジティブな可能性を感じています。

ひとつ悩んでいるのは、既存のスポンサーとトークン所有者の棲み分けをどのようにするか。実際にスポンサーの代わりにトークン購入に関心を持つ企業の方々もいます。クラブとしてはスポンサーになっていただくのが直接的な収益につながりますが、トークンを購入してもらうのもとてもポジティブなこと。それぞれのスポンサーに対して、どういう価値を還元していくかというのはこれからちゃんと設計しないといけない部分です。

これは決してネガティブなことではなくて、どう解決していくといいか、ワクワクしながら企画している状況です。



──最後に、今後のクラブトークンの活用方法について教えてください。

小泉:クラブの収益源のひとつとして考えられるといいなと思いながらも、フィナンシェを軸に新たなファンを増やすこと、より多くの方々にトークンを持つことによってクラブを応援するという体験を楽しんでいただけるための取り組みにコミットしていきたいです。

クラブ公式SNSなどに比べて、爆発的にコミュニティーメンバー数が増えた実績があるので、これからもフィナンシェを入り口にしながら、クラブのことを知ってもらって、応援してくれる人が増えていくといいですね。

文=宮本拓海 聞き手=督あかり

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