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天気痛が起こりやすい人は


低気圧が接近したり雨の日が続いたりしたときに、体調が悪くなりやすい人にはどんな特徴があるのだろうか。佐藤教授によると、それは「耳が敏感な人」だという。

「ここでいう『耳』とは、厳密には鼓膜よりも奥にある『内耳』を指します。いままでの研究で内耳に気圧のセンサーがあり、そこで感じ取った気圧変化の感覚が脳に伝えられることがわかっています。もし、少しの気圧変化でも敏感に感じ取るような内耳を持っているとしたら、さまざまな症状を引き起こしやすいかもしれません」

なお、耳が敏感な人は、揺れにも敏感なので、乗り物に酔いやすい傾向にもあるそうだ。

読者のなかには、「年々症状がひどくなっている」と感じる人もいることだろう。天気痛の症状が年々ひどくなる傾向にあるのかどうかは、統計がとられていないため、はっきりとしたことはわからない。ただし、佐藤教授によれば、そういうケースも十分にありうるという。

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Getty Images

その原因としてまず挙げられるのが、生活習慣だ。天気痛に悩む人は、自律神経の働きが乱れがちな傾向にある。冷暖房の完備された部屋で長時間デスクワークをしていると、どうしても体に本来備わっていた体温調節の能力が落ちてしまう。自律神経の働きが乱れる一方なのであれば、確かに「年々症状がひどくなっている」と感じてもおかしくはない。

加えて、2020年からはコロナ禍の影響でテレワークをする人も増えた。これも自律神経の働きが乱れやすい生活習慣につながっているとも言える。佐藤教授は次のように指摘する。

「通勤は、実は意外と侮れない運動量になっていました。テレワークで通勤がなくなると、体は楽になったかもしれませんが、運動量が大幅に減ってしまっています。また、テレワークだとどうしても勤務時間とプライベートのメリハリもなくなるため、食事の量が不規則になったり、ダラダラと仕事をして長時間同じ姿勢でパソコンに向かったりしがちです。これも自律神経が乱れやすい生活習慣といえます」

2021年ならではの要因もある。今年は西日本が5月中旬から梅雨入りし、とても長い梅雨となった。東日本は気象庁による梅雨入りの発表こそ平年よりも遅かったものの、5月中旬にはやはり長雨があったため、断続的に雨の季節が長く続いたといってもいい。

「これだけ雨の季節が長いと、温度と湿度が高く、気圧の低い期間が長いため、体には相当の負荷がかかっています。今年は特に天気痛がつらいと感じる人が多いはずです」(佐藤教授)

加えて、近年は猛暑や大雨など気象現象が苛烈になってきている傾向もある。このようなさまざまな原因によって、気象病や天気痛の症状が年々悪化しているように感じる人が増えているのではないだろうか。

仕事をしながらこっそりできる天気痛ケア


気象病や天気痛をなんとかしたいと考える人は多いはずだ。これを乗り切るためには、まず、気象と痛みの関係を知ること。そして、痛みを抑えたり予防したりすることが大切だ。

文=今井明子 編集=松崎美和子

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