2年間、経産省へ出向。24歳のリクルート社員が届けた「若者の声」

経済産業省へ出向した杉山実優さん


「グリーン成長に関する若手ワーキンググループ」の活動をあらためて振り返り、今回の報告書のテーマでもある「自分ごと化」を、どのように進めていくのか。杉山さんは次のように語る。

「報告書のタイトルにも込めましたが、自分ごと化してもらうためにはまず相手への共感からはじめること。それから、サステナビリティを実現するためには指標を設定することが重要です。どうしてもカーボンニュートラルを成し遂げるにはコストがかかります。そしてカーボンニュートラルだけが必ずしも答えでもないと思います。『経世済民』の言葉のとおり、より良い社会や環境への配慮と、経済の両立を模索していくこと。それこそがサステナビリティだと思います」

こうした取り組みは、経済産業省の中でも「具体的に多くの人に動いてもらうためにはどうするか、という行動ベースに落とし込むことはこれまで考えられていなかった」と高い評価を受けたという。産業技術環境局長からも、「新しい意見が入ってきた」と歓迎された。梶山大臣も「世代を超えた議論ができる経産省にしていこう」と若手の新鮮な視点に感銘を受けていた。

「日本ではまだ、若手が意見を出せる場がそれほど多くない。経産省でこうした取り組みをはじめられたのは良いモデルになったと思います。いろんな企業や自治体が『もっと若手の意見を聞こう』と思ってもらうきっかけになったらいいなと思っています。そして若手にも、考えていることを世代を超えて発信できるんだと思ってもらいたいです」



これから先も、杉山さんは「経済とより良い社会の両立」について模索を続けていくという。

今思う、「経済とより良い社会の両立」のために必要なこととは──。

「自律と共生だと思います。ダイバーシティや若手の自発的な活動など、自律的に動く個人が、他者、自然、技術、モノなどとどう関係性を築いていくのか、それが重要なテーマだと思います」


杉山実優(すぎやま みゆう)◎2017年、株式会社リクルートキャリア入社。新卒採用・社内人事を担当した後、2019年に経済産業省へ出向。産学連携における人材育成支援に取り組む。産学官の若手コミュニティ「官民若手イノベーション論ELPIS」を立ち上げ・運営。産業構造審議会研究開発・イノベーション小委員会の下に2020年4月に新設された「若手ワーキンググループ」事務局。2050年カーボンニュートラルを若手で検討する「グリーン成長に関する若手ワーキンググループ」事務局。2021年4月、株式会社リクルートに帰任。

取材・編集=谷本有香 文=石川香苗子

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