ビジネス

2021.07.10

ロビンフッドのIPO目論見書で確認された「儲けのカラクリ」

Justin Sullivan/Getty Images


収益の大半は顧客の注文データの横流し


また、ロビンフッドはその収益モデルについても批判を浴びている。昨年8月のフォーブスの記事で、同社がその取引収入の大部分を投機的なオプション取引から得ていることが指摘された。同社のビジネスの大部分は、PFOF(ペイメント・フォー・オーダーフロー)と呼ばれる顧客の注文データの外販で成り立っており、その買い手はヘッジファンド運営会社のシダテルやTwo Sigmaなどのトレーディング界の巨人たちだ。

さらに、その中でもユーザーに高いリスクを負わせるオプション取引の収益性が最も高いことが分かっている。

今回のS-1書類で、同社のトレーディング売上の80%以上が、シタデル、サスケハナ・インターナショナル・グループ、ジャンプ・トレーディング、ウルヴァリン・ホールディングスなどの一握りのアルゴリズム取引会社からのものであることが分かった。保有資産161億ドルのケン・グリフィンが所有するシタデルは、ロビンフッドの最大の顧客であり、トレーディング売上全体の27%を占めている。

12月中旬、SEC(米証券取引委員会)は、ロビンフッドが2018年末までこれらの企業との取引内容を開示しなかったとして、6500万ドルの制裁金支払いを求める訴訟を起こしていた。この種の訴訟は、ロビンフッドにとって珍しい話ではない。S-1書類には、オプション取引、アカウント買収、取引停止などをめぐる合計49件の原告訴訟および規制当局からの問い合わせが記載されている。

現在、ロビンフッドは、フィデリティやイートレード、TDアメリ、チャールズ・シュワブなどの証券会社と競合しており、これらの証券会社はいずれも取引手数料をゼロにしている。また、同社のライバルとなる新興企業には、WebullやAcornsなどがあげられる。

フィンテック分野では今年、数多くの企業がIPOを目指しており、デビットカードを発行するMarqetaは6月中旬にIPOを完了し、創業者はビリオネアになった。また、海外送金を支援するフィンテック企業Flywireも5月にIPOを実施した。CB Insightsによると、2021年の最初の3ヵ月間は、フィンテック企業のエグジット件数が過去最大に達したという。

IPO後のロビンフッドは、彼ら自身がミーム銘柄として取引されることになるかもしれない。ロビンフッドは目論見書の中で、IPO株の最大35%を同社の会員に割り当てると述べている。

記事=Sergei Klebnikov & Eliza Haverstock 編集=上田裕資

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