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植毛手術支援システム「アルタス」を使った植毛治療を受ける人(Wonderfulengineering.com)

米カリフォルニアに、植毛手術支援ロボットの開発・製造を手がけるユニークな医療器具メーカーがある。「レストレーション・ロボティクス」だ。

同社は2002年、CEOライアン・ローズのもと、米カリフォルニア州サンノゼを拠点に創業。2011年には初代製品「植毛手術支援ロボット」がアメリカ食品医薬品局(FDA)の認可を取得する。そして続く2014年10月には 、アルタス・ロボティックアーム手術支援システム(1台20万ドル、約2200万円)の出荷台数が100台に達したとともに、ロボット手術で扱われた「毛包(もうほう、頭髪を支える毛根の深部にある組織)」の数が1000万株に上ったことを明らかにした。

1人あたりの毛包が約1200~1600株と仮定すれば、およそ7000人以上が同社製のロボットで手術を受けたことになる。


植毛手術支援システム「アルタス」を使った植毛治療(Wonderfulengineering.com)

「植毛」3850億円市場に強気支援、投資額実に77億円超


2014年11月、同社は支援者によって数百万ドルの追加投資を受けたことを発表した。投資完了額は累計で7000万ドル(約77億円)を超えている。直近の資金調達によって、ロボットの後継モデルの開発およびマーケティングの費用がまかなわれるという。支援者は愚かな賭けに出たのだろうか?否、植毛治療業界の潜在市場は、米国だけでなんと年間35億ドル(約3850億円)の市場可能性を秘めているともいわれている。


ドナーを採取(Wonderfulengineering.com)

植毛手術支援システム「アルタス」は解析ソフトウェアとカメラを搭載しており、頭皮の高解像度画像から採取すべき毛包(ドナー)を決定する。医師は、ロボットが手術を行うプロセスをモニター画面を介して終始監視する。モニターの設置場所は別室でも構わない。アルタスは内蔵のインナーニードルで皮膚を穿孔し、アウターニードルで毛包を吸引する。その後、発毛させたい部分に手作業で毛包を植え込んでいく。

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植毛手術支援システム「アルタス」(Wonderfulengineering.com)

1回の手術にかかる時間は平均およそ6~10時間。患者はこの間、顔を下に向けて座ったままでいなければならないが、それでも人間の医師のみの手術よりは短く済むという。

ロボットによる支援がない場合、医師は植毛する毛髪を1毛包単位ずつ採取するのではなく、頭皮ごと「帯状に切除採取してから1毛包単位ずつに分ける」のが一般的だ。アルタスの手を借りれば、傷跡が少なく、ナチュラルな見た目に仕上げることができるという。


Robotic Hair Restoration Can Improve Millions of Lives | Medical Robotics

(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものです)

翻訳=神原里枝 編集=石井節子

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