ワクチン接種を受けていない子供たちの間でデルタ株が急速に感染を広げることが懸念される中、米ファイザーとドイツのビオンテックが共同開発したワクチンの有効性(感染予防効果)が、大幅に低下している可能性があるとの調査結果が公表された。
イスラエルの保健省が7月5日に発表したデータによると、ファイザー製ワクチンの発症予防効果は64%で、これまでの約90%を大幅に下回ると推定される。ただ、重症化の予防に対する有効性は依然として非常に高く、わずかに低下したものの、93%程度とされている。
一方、ファイザーと同じタイプの技術を用いた米バイオテクノロジー会社モデルナのワクチンは、デルタ株に対してもこれまでと同程度の有効性を維持しているという。同社が接種を完了した人から集めた血液サンプルを調べた結果、抗体は「わずかに減少しただけ」だったという。
また、米国で3番目に使用が許可された米ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンも、デルタ株に対する有効性が確認されている。同社によれば、効果は少なくとも8カ月間持続するとみられている。
新たに確認される感染のほぼすべてをデルタ株が占めるようになった英国の調査では、同国のアストラゼネカ製ワクチンのデルタ株に対する有効性は、(英国で最初に確認され、感染の大半を占めていた変異株)「アルファ株」に比べ、発症予防効果がやや低い約60%、重症化の予防効果が90%程度とされている。
1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンを除き、2回の接種が必要なその他のワクチンは、これまでの研究でも一貫して、初回の接種のみでの予防効果は低いことが示されていた。
初期の調査
現時点では、急速に感染が拡大するデルタ株に対するワクチンの有効性についての調査は開始されたばかりで、中には不完全なものもある。