経済・社会

2021.07.06 19:00

香港デモ参加の米国人に懲役刑、メリルリンチの企業弁護士

Anthony Kwan/Getty Images

香港の裁判所は7月6日、2019年の民主化運動の際に私服警官と衝突した米国人弁護士に4カ月半の懲役刑を宣告した。香港では、中国政府があらゆる反体制活動の取り締まりを強化する中で、金融ハブからの撤退を検討する外国人が増えている。

ブルームバーグの記事によると、バンクオブアメリカ・メリルリンチの企業弁護士を務めていたサミュエル・ビケット(37)は、警察官への暴行の罪で起訴され、4カ月半の懲役刑を宣告された。

判決を下した判事は、ビケットの行為を「公共の秩序に対する深刻な脅威」と表現した。彼は先月、暴行罪で有罪判決を受け、保釈を拒否されていた。

ビケットは先月、無罪を主張し、非番の警察官が必要以上に警棒を振り回したことを非難しいた。しかし、その警察官は、ビケットが彼から警棒を奪おうとしたため、平手打ちをしたと法廷で述べていた。

ビケットは判決後に発表した声明の中で、この判決が常軌を逸したものであり、受け入れられないと述べている。彼は判決を不服として控訴する予定で、「正義が果たされるまで休むことはない」と述べている。

米国務省は、香港への渡航警戒レベルを4段階の上から2番目であるレベル3の「渡航を再検討」に指定し、アメリカ人の渡航を控えさせている。この勧告は、「現地の法律の恣意的な執行と新型コロナウイルス関連の渡航制限」を理由としている。

米国の超党派の議員グループは先日、香港の民主主義に対する中国の「絶え間ない攻撃」に注視するよう求める書簡を、ジョー・バイデン大統領に送っていた。議員らは、香港の国家安全維持法(国安法)が米国市民にもたらすリスクに対処するため、「政権が何をしているのか」を開示するよう求めていた。

2019年に、香港市民らは大規模な抗議活動を組織し、香港政府が人々を拘束して中国本土に送還することを可能にする法律に反対した。これを受けて、中国政府は香港の支配を強める動きを見せ、2020年6月に香港当局に強固な権限を与える国安法を施行し、その実施を監督するために秘密警察と国家安全評議会を設置した。

編集=上田裕資

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