職場への出勤が再開され、雇用主が安全な労働環境を確保する方法を検討するなかで、雇用主によるワクチン義務づけの可能性が浮上している。医療分野を中心とする一部の雇用主は、すでにワクチン接種を義務づけているが、KFFの調査では、この問題に関しては賛否の入り混じった複雑な感情が浮き彫りになった。
全労働者のうち51%は、雇用主は従業員のワクチン接種を義務づけるべきだと回答したが、未接種の回答者に限ると、この数字は19%に激減した。そのいっぽうで、自分のこととなると、接種義務づけに対する熱意は低下し、自身の雇用主が義務づけることには61%が反対した。
「もう少し様子を見て」から接種したいと回答した未接種成人のうち60%は、新たな変異株には効かないのではないかと懸念している。新たな変異株が広がり、とりわけデルタ株が米国で優勢になりつつある現状では、ワクチン接種がこれまで以上に重要になると専門家は考えている。また、発症を防ぐという点では、ワクチンには依然として高い効果があることも複数の研究で示されている。
米国では、死者数と新規感染者数が減少するなかで、ほぼ全面的に活動が再開している。接種スピードが低下している現状では、数々の奨励策も、一時しのぎ以上のものにはなっておらず、接種率の低い多くの州やコミュニティは流行が発生しやすい状態にある。
バイデン大統領の首席医療顧問を務めるアンソニー・ファウチ博士は、こうした状況が、接種率の高い地域と低い地域を分断する「ふたつの米国」を生むおそれがあると警告している。