コロナ禍の巣ごもり需要による配信者とコンテンツ増加の後押し、ライブ会場の閉鎖でパフオーマンスの場をライブ配信に切り替える状況など、取り巻く環境の変化も影響した。同グループは、今や、世界6地域(東京・台北・香港・北京・ニューデリー・LA)の拠点から全154地域に展開するプラットフォームに成長している。
17LIVE日本法人の代表であった小野裕史は、昨年、世界を統括するグローバルCEOに就任。群雄割拠のライブ配信サービスの中で成長する要因について話を聞いた。
TikTokやYouTubeは、決して競合ではない
17LIVEは、一般のユーザーやタレント、企業・団体が誰でもコンテンツをリアル配信でき、ギフティング(ギフトを送る)と呼ばれる投げ銭やライブコマースで収益を得ることもできるプラットフォームだ。昨今、TikTokやSHOWROOM、Clubhouseに老舗YouTubeなど、競合と言える面々も大きく成長を続ける中、17LIVEの差別化はどこにあるのか。
小野は他社の配信サービスを競合とは考えていないという。ライブ配信と一言で表せばわれわれには同義に見えるが、そうではない。
「ライブ配信がどういう位置付けにあるサービスか、そのスタイルが良いか悪いかはユーザーが選択します。17LIVEに参加しているライバー(配信者)もオーディエンス(視聴者)も、口を揃えるのは『距離感の近さ』です。私たちは感情のエンハンスを最大の目的としていて、インタラクティブなコミュニケーションを通じてお互いの近さを感じてもらえているならば、それが差別化であり成長の大きな要因でしょう」
他社のサービスの多くは一方向の発信であることが多い。機能の一つとしてライブ配信を備えるサービスも多いが、17LIVEの場合はライブ配信が主たるサービスだ。加えて、友だちへのテレビ電話のようなUIもインタラクティブ感を増す。あたかもライバーの部屋に遊びに来たような感覚、特別な場所へ行くというより、目の前にいる感覚が小野の言う感情をエンハンスする起点となる。
17LIVEのいう「だれもがなにかのアーチスト」は、いつもの日常が誰かの特別な時間になるかもしれないメッセージだ。(同社のYoutubeより)
「17LIVEのライバー年齢構成比は10代から50代まで綺麗に分布が分かれていて、幅広い層から支持されています。中には70代のご婦人のライバーさんもいらっしゃリ、17LIVEでは人気の女性です。10代のユーザーの悩みを聞いて力になってあげると、ユーザーはもちろん、彼女自身も非常にアクティブになったと伺っております。社会との接点が少なくなりストレスを抱えていたそうですが、17LIVEを通した様々なユーザーとの出会いが大きな変化をもたらしたんです」
世代も違えば、住んでいる場所も違う。この交流がお互いを幸せにした。「感情のプラットフォームになりうるんです」と小野は言う。