「17LIVE」を進化させるのは生物学の修士号を持つリーダー

17LIVE代表取締役社長/Global CEO, 17LIVE inc. 小野裕史

17LIVE代表取締役社長/Global CEO, 17LIVE inc. 小野裕史

ライブ配信プラットフォーム「17LIVE」が好調だ。2020年時点で世界に4500万に上る登録者を超えており、さらに、17LIVEと直接契約を結ぶ「認証ライバー」の数は32000人を突破、2020年の年間合計ライブ配信時間も前年比で200%増になった。

コロナ禍の巣ごもり需要による配信者とコンテンツ増加の後押し、ライブ会場の閉鎖でパフオーマンスの場をライブ配信に切り替える状況など、取り巻く環境の変化も影響した。同グループは、今や、世界6地域(東京・台北・香港・北京・ニューデリー・LA)の拠点から全154地域に展開するプラットフォームに成長している。

17LIVE日本法人の代表であった小野裕史は、昨年、世界を統括するグローバルCEOに就任。群雄割拠のライブ配信サービスの中で成長する要因について話を聞いた。

TikTokやYouTubeは、決して競合ではない


17LIVEは、一般のユーザーやタレント、企業・団体が誰でもコンテンツをリアル配信でき、ギフティング(ギフトを送る)と呼ばれる投げ銭やライブコマースで収益を得ることもできるプラットフォームだ。昨今、TikTokやSHOWROOM、Clubhouseに老舗YouTubeなど、競合と言える面々も大きく成長を続ける中、17LIVEの差別化はどこにあるのか。

小野は他社の配信サービスを競合とは考えていないという。ライブ配信と一言で表せばわれわれには同義に見えるが、そうではない。

「ライブ配信がどういう位置付けにあるサービスか、そのスタイルが良いか悪いかはユーザーが選択します。17LIVEに参加しているライバー(配信者)もオーディエンス(視聴者)も、口を揃えるのは『距離感の近さ』です。私たちは感情のエンハンスを最大の目的としていて、インタラクティブなコミュニケーションを通じてお互いの近さを感じてもらえているならば、それが差別化であり成長の大きな要因でしょう」

他社のサービスの多くは一方向の発信であることが多い。機能の一つとしてライブ配信を備えるサービスも多いが、17LIVEの場合はライブ配信が主たるサービスだ。加えて、友だちへのテレビ電話のようなUIもインタラクティブ感を増す。あたかもライバーの部屋に遊びに来たような感覚、特別な場所へ行くというより、目の前にいる感覚が小野の言う感情をエンハンスする起点となる。

17のプロモーション動画のワンカット
17LIVEのいう「だれもがなにかのアーチスト」は、いつもの日常が誰かの特別な時間になるかもしれないメッセージだ。(同社のYoutubeより)

「17LIVEのライバー年齢構成比は10代から50代まで綺麗に分布が分かれていて、幅広い層から支持されています。中には70代のご婦人のライバーさんもいらっしゃリ、17LIVEでは人気の女性です。10代のユーザーの悩みを聞いて力になってあげると、ユーザーはもちろん、彼女自身も非常にアクティブになったと伺っております。社会との接点が少なくなりストレスを抱えていたそうですが、17LIVEを通した様々なユーザーとの出会いが大きな変化をもたらしたんです」

世代も違えば、住んでいる場所も違う。この交流がお互いを幸せにした。「感情のプラットフォームになりうるんです」と小野は言う。
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文=Forbes JAPAN 編集部 写真=西川節子(人物)

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