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2021.07.12 16:00

スマートシティを実現する「都市OS」導入のための必須思考

photo by recep-bg / iStock

本連載の第1回ではスマートシティがどのように生活者(市民)のライフスタイルに影響を及ぼすのか、医療分野を例として紹介しました。続く第2回では、スマートシティの成り立ちから近年のテーマまで、スマートシティについてのベーシックな知識から成功の要諦である「三方良し」までを幅広く扱いました。最終回となる今回は、スマートシティを動かす仕組み「都市OS」「アーキテクト」を中心にデジタル社会の未来像を描きます。

スマートシティの“作り方”1「都市OS」


前回(第2回)の記事でスマートシティが「低炭素社会を目指す“環境”の取り組み」から出発しつつ、都市インフラ維持や市民のQoL(Quality of Life:生活の質)向上、産業の創出・振興といった「都市としての“魅力”の強化」へと目的を拡大させていった様子を紹介しました。さらに、先進デジタル技術を活用する新サービスの社会実証フィールドという側面への注目度が高まっているのも特徴として挙げられるでしょう。

都市とは人が生活する環境です。自分たちがどんな環境で暮らしたいのかという市民の想いなしに、街づくりは始まりません。スマートシティを考えることは、デジタル世界における街づくりそのものであり、市民一人ひとりにとって生活の再デザインであるともいえるのです。

スマートシティサービスを市民に提供するためには、何が必要でしょうか。読者の皆さんは、おそらくスマートフォンかPCでこの記事を読んでいると思われますが、それらデジタル機器を構成する各種の物理的なパーツや内部のデータ、アプリケーションを制御しながら動作させているのはWindowsやiOS、AndroidなどのOS(オペレーティングシステム)です。同様にスマートシティを動かすための仕組みが「都市OS」です。街中のセンサーなどから得られるオープンデータや市民同意のもと共有される個人データなど「スマートシティアセット」と、データを活用する様々なサービスをつないで制御し、利用者に利便性の高いインターフェイスを提供します。

ただ、都市OSがうまく機能し、人々の暮らしをよくしていくためには、デジタルだけでは足りません。デジタルサービスを活用するまちづくりには、運営組織や利用者巻き込み型でのサービス創出を実現する「都市マネジメント」、街づくりの基本設計となる目標・KGI・KPIの検討を含む「スマートシティ戦略」、関連法令・ガイドラインなどを含んだ横断的なルール「スマートシティルール」が不可欠です。

内閣府が推進したSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)事業にて定義された「スマートシティリファレンスアーキテクチャ」は、スマートシティ推進において市民・企業・観光客を「利用者」として都市マネジメントへの参画を促しながら、新たなサービスを生み出す仕組みを描いています。

スマートシティの基礎的仕組み図

「スマートシティリファレンスアーキテクチャ」の仕組み(出典:戦略的イノベーション創造プログラム(SIP))

スマートシティの“作り方”2「アーキテクト」


都市OSがスマートシティの基盤となる仕組みならば、その仕組み全体をトータルに運用管理・マネジメントする「人」が「アーキテクト」です。
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文=藤井篤之(アクセンチュア)

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