ワレンスキー所長はホワイトハウスで行った記者会見で、「複数の州」から集めた予備データが示すのは、「米国がワクチン接種を開始してから1カ月が経過した今年1月以降、このウイルスへの感染が原因で死亡した人はほぼすべて、接種を受けていなかったということだ」と説明した。
つまり、統計によれば驚くことに、新型コロナウイルスへの感染による死はほぼ完全に、防ぐことが可能だということになる。所長は、これはワクチンの有効性を反映したものだと強調。「(新型コロナ)ウイルス関連の死は、ほぼ完全に回避可能になった」と述べている。
ワクチンの有効性についてはAP通信も5月、感染して死亡した約1万8000人以上のうち、99.2%はワクチン未接種だったと伝えている。「ブレイクスルー感染」(接種完了後の感染)による死者は、150人だったという。
「デルタ株」による感染拡大は脅威
ワレンスキー所長は同日、ワクチンの有効性に関する前向きな兆しについて明らかにすると同時に、感染力が高まったとされる変異株の「デルタ株」の脅威についても語った。米国では、デルタ株への感染は現在、新規感染者のおよそ25%を占めると推計されている。
所長によれば、デルタ株の感染拡大が特に懸念されるのは、ワクチンの接種率が30%程度にとどまっている州の約1000の郡(主に南部、東部、中西部の州に集中)。CDCはすでに、これらの地域の一部で、デルタ株の感染者が増え始めたことを確認している。
CDCがこうした見解を示す一方、バイデン政権は同日、感染者が増加している地域に対応チームを派遣する方針を表明した。ホワイトハウスで新型コロナウイルス対策を率いるジェフ・ザイエンツ調整官は、具体的にどの地域を念頭に置いているかについては明言しなかったものの、ワレンスキー所長が言及した約1000の郡が対象と考えられる。
米国では、ほぼすべての州で経済活動が再開された。だが、ワクチン接種率は大きく伸び悩んでおり、接種を受けることができる人のうち、2回の接種を受けた人はいまだ半数に満たない。
ワクチン接種に対する姿勢は完全に党派間の分断を表わしており、バイデン大統領が掲げた独立記念日の7月4日までに成人の70%が少なくとも1回のワクチン接種を終えるとの目標を達成した18州(コロンビア特別区を含む)は、すべて2020年の選挙で大統領が勝利を収めた州だ。
ミシシッピ、ルイジアナ、ワイオミング、アラバマなどの各州では、接種率はいまだ50%を超えていない。