スプレー除菌は効果に疑問? いま一度、正しい「環境消毒」の見直しを

正しい消毒と清拭を

東京都では、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の増加が止まらない。感染収束の見通しが立たないなか、いま一度家庭内での感染対策を見直したい。デザイン事務所「NOSIGNER」代表の太刀川英輔が発起人を務める、PANDAIDのグラフィックでお伝えする。


「清拭」が効果的な理由


新型コロナウイルスの感染経路は、症状の有無にかかわらず感染した人からの飛沫感染と接触感染と考えられています。咳エチケットや手洗いなどの基本的な感染症対策はもちろん、感染者の飛沫がついている可能性のある部位からの感染リスクを低減するため、満遍なく清拭(拭きあげる)する、こまめな日常清掃と消毒が重要とされています。

PANDAID

新型コロナウイルス感染症予防対策としては、飛沫が付着していると想定される人がよく触る部分の清拭による清掃と消毒をすることにより、接触感染を防ぐことが有効と考えられています。

日常清掃で通常の汚れ(有機物など)を除去し、その後一貫して消毒作業をすることで、その薬剤効果を発揮させることができます。

ちなみに、皆さんがよくイメージされる噴霧器(スプレーを含む)等を使用した消毒は、ウイルスの大きさと噴霧器の粒子の大きさを比べると、その消毒効果と確実性に疑問が残る点、誤った安心感を醸成し、手指衛生などがおろそかになることが懸念される点、そして、屋内における噴霧器等を使用しての薬剤噴霧は、人への被爆や安全性の観点などにより、推奨されていません。

ウイルス大きさ

効果的な消毒方法


使用する薬剤は、70%以上の消毒用アルコール(エタノール)もしくは、500ppm~1000ppmの次亜塩素酸ナトリウムです。

現在、アルコールは入手困難なので、次亜塩素酸ナトリウムが推奨できます。商品名でいうと、ハイターやミルトンで、それぞれの原液濃度によって適切に希釈をして使用します。

準備するものは、薬液から身体を保護するゴーグル(花粉症用のものなどでも)、グローブ(手指の保護)、マスク、クロスやディスポーザブルウエス(化繊推奨)、バケツ等になります。

次亜塩素酸ナトリウムは木の繊維(紙パルプなど)と反応すると不活化してしまいますので、クロスやウエス類は化学繊維などのほうが望ましいとされています。

注意事項としては、次亜塩素酸ナトリウムは他の薬液と混ぜると、塩素ガスがでて危険です。絶対に混ぜないことと、作業中は良く換気をして下さい。

太刀川英輔

パンドエイド

NOSIGNER


連載:パンデミックから命をまもるために
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編集=岡部美楠子 イラスト=Kacho デザイン=青山希望、太刀川英輔

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