こうしたなかでも、この分野で触れられていないトピックがある。それは、急成長中のこれらの企業のあいだで、トップクラスの人材へのニーズが極端に高まっていることだ。
米国経済と労働市場は、猛烈な勢いで活気を取り戻している。家族経営の小さなレストランから投資銀行に至るまで、幅広い事業体が、過熱する一方の人材争奪戦に参戦している。企業から聞こえてくるのは、顧客の旺盛な需要に対応できない、ニーズを満たすのに十分な従業員を確保できないといった不満の声だ。
経験豊富な人材の欠如は、加速度的な成長を続ける暗号通貨コミュニティでは特に大きな問題だ。暗号通貨の交換所は、高度な専門知識を持つプロフェッショナルを必要としている。具体的には、ソフトウェアエンジニアのほか、コンプライアンス、法務およびリスク管理、マーケティング、営業や採用などの業務に関わる従業員が、事業を管理し、規模を拡大し、予防的に厳しくなる規制や政府の監督に対処するために不可欠だ。
ブルームバーグによると、仮想通貨に関連する企業は、全世界で数千件もの募集を行っているが、これらの求人枠に合致したスキルを持つ候補者を見つけ出すのに苦慮しているという。このセクターは、人材採用に関して多くの課題に直面している。まずは、まだ誕生して間もない分野であることから、大半の募集案件に関して、その分野の特性に合った5年ないし10年の実務経験を持つ求職者がそもそも多くないという事情がある。
また、この分野に高い関心を持つ者も一部にはいるが、それと同数、あるいはそれを上回る数で、暗号通貨の世界に飛び込むことにためらいを覚える、有望な候補者たちも存在する。こうした人々は、未知の世界への恐れや、安定したキャリアを築けないのではという懸念などから、引き続き従来型の職種を選ぼうとする。
暗号通貨がメジャーな資産となるなかで、大手銀行、投資銀行、ヘッジファンド、フィンテックなど、あらゆる金融機関との競争は激化する一方だ。また、アップル、フェイスブック、スクエア、テスラ、マイクロストラテジーなどのテック系企業も、この分野に入り込む機会をうかがっており、中にはすでに参入した企業もある。
さらに、エルサルバドルは国を挙げてこのブームに乗り、ビットコインを法定通貨に定めた。ソフトウェア開発者やエンジニアを募集する求人は数多く出回っており、こうした職種の人材はどこでも引っ張りだこの状態だ。