ビジネス

2021.07.05

アディダスとオールバーズが革新的コラボで得た「大切な気付き」

アディダス ジャパン副社長 トーマス・サイラー氏(左)とオールバーズ日本法人代表 竹鼻圭一氏(右)


42.195kmを2時間23分53秒で走るマラソンプロランナー、岩出玲亜選手も「これまで履いてきたランニングシューズで一番軽くて、無駄がない。アッパーの素材が柔らかくて甲への負担がなく、地面をとらえる感覚が強い。アディダスの中ではアディゼロに近く、スピードが出しやすい」と、その性能を高く評価している。

また、岩出選手は、「先日チェコ遠征があり、その際の飛行機移動や街歩きでも履いていた」とコメント。スポーツに限らずタウンユースにも合うデザイン、また軽量さとコンパクトさからも旅行好きにも需要が高そうだ。


カーボンフットプリント2.94の数字は全て手書き。刺繍糸は、強度を補う役目も果たしている

見えなかったものが見えてきた


「FUTURECRAFT.FOOTPRINT」は12月に数量限定で発売される予定だが、それに先駆けてアディダス会員に向けて行なった抽選では、予想を超える反響を得たという。

「世界で100足という数に対して、1万件を超える応募がありました。これは、通常の限定品と比較しても高い反応で、多くの人の共感を感じ、嬉しい後押しとなりました」とサイラー氏。

それは、このフットウェアが「妥協のない一足」だからだろう。その点に関しては、「サステナブルだから購入されるとは思っていない。あくまでも商品ありき」という両氏の意見からもうかがえる。

今後、アディダスとオールバーズは、パートナーシップを拡張するためにタスクフォースを結成。若く優秀な人材を募り、互いに強みを学びあったり、消費者を含めたコミュニティを活性化させたりと、サステナブル活動を展開していくという。

竹鼻氏は、今回のプロジェクトを振り返り、デザイナーたちが「協業しなかったら、自分たちが何を知らないか知らなかった」「見えていなかったことが見えてきた」と言っていたのが印象的だった語る。

一社で勝ち抜こうとするのではなく、手を取り、手の内を見せ合い、ときに自社の“当たり前”も覆しながら、社会を変えていく。この協業が業界や社会にどのように波及していくのか、期待したい。

編集=鈴木奈央 写真=山田大輔

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