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2021.07.01 11:00

収穫ロボ開発のAGRIST、日本農業をどうアップデートするか|#RISINGSTAR


ロボットに合わせた環境づくり


──大きなビジョンを実現するためには、収穫ロボットを開発するだけでなく、農家や農業関連事業者との連携も重要になってきます。

9月に向けては、研究開発用の試験圃場(一定区画で農作物栽培の試験を行う場所)も準備しています。ENEOSホールディングス様に協業していただき、太陽光エネエルギーを使うなど、低炭素社会に適したビニールハウスの開発も進めていきたいと考えています。 

今は、既存農家さんのハウスに合わせてロボットを開発していますが、より効率的に収益性を高めていくためには、ロボットに合わせた栽培施設、つまり専用のビニールハウスが重要になってきます。そうした環境づくりも含めてチャレンジしていきます。

また、ロボットに合わせた作物の育て方も並行的に研究していきます。「このようにロボットを使うと、より収益性が上がります」ということを(データで)示してしていきたいと考えております。

──現時点での手応えと今後の展望について教えてください。

宮崎に加えて、今後は茨城でもロボットの試験運転を行うことが決まっています。そのほかにも、全国の5つの自治体から、AGRISTのロボットを使いたいと要望をいただいていて、例えば埼玉県の深谷市では、きゅうりの収穫ロボットを開発する話を進めています。

AGRIST
(提供:AGRIST)

この先3年から5年の間に、日本の農業は、ロボットがないと話にならない、というところまできています。実際、国としても、「2025年までに農業の担い手のほぼすべてがデータを活用した農業を実践する」という目標を掲げています。農業のDX化をどれだけ現場レベルで執行できるかどうか。ここが大きなターニングポイントであり、私たちはそこに貢献していきたいと考えています。


Forbes JAPAN Rising Star Community 2021では、7月1日にコミュニティメンバーによるピッチイベントを開催。「大きく成長する起業家の条件」をテーマに、特別ゲストを招いたセッションも展開する。ビジネスのアイデアやヒントを収集する場として、ぜひ参加いただきたい。

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高橋慶彦(たかはしよしひこ) ◎AGRIST株式会社 取締役COO。秋田県横手市出身。10歳から家業の印刷会社の事業の手伝いを始める。高校卒業後、単身渡米。米国シリコンバレーの大学にて、デザインを学ぶ。帰国後、広告代理店を設立。クラウドファンディングを活用したメディア事業、人材育成事業、空き家再生事業を実施。2018年8月、家族と共に宮崎県新富町へ移住。世界の農業課題を解決し、人類の未来に貢献するためAGRISTを設立。国内のビジコンで11個の賞を受賞。

文=露原直人

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