若い時期に新領域へ飛び込め
──中山さんのキャリアは、将来起業を志されている方にとって非常に参考になると思います。振り返って、意識して良かったことなどがあればお聞かせください。
これは最初の上司から言われた言葉ですが、「どうあがいても20代のうちが一番スポンジとしての吸収力が高いから、とにかく20代のうちに良い経験を積んだ方がいい」と言っていただいたことを意識していましたね。
なので生き急ぐかのように様々な経験を20代でしようとしていましたし、結果的にそれが良かったと思っています。
もう一つが「新しい領域」を選んだこと。単純に「領域の新旧」格差だけで、身の丈よりも大きな仕事を経験できました。
若い頃から20歳以上離れたような方と対等な立場で議論できたのは、たまたまインターネットという新しい領域に身をおいていたから。
2010年からベトナムに渡りましたが、その時期は最も東南アジアのインターネット産業が伸びた時期。私が世界で一番東南アジアのインターネット情報を知っている、と言っても過言ではないほど知見が溜まりました。
「若い」頃に「新しい領域」でたくさんの経験をする。これが私が意識していたポイントで、他の方にとっても真似できるポイントなのかなと思います。
──ある意味で「逆張り」し続けたキャリアですね。
起業家の素養としてお話しした「穿ち癖」から生まれたキャリアかもしれません。
私は慶應義塾大学卒業ですが、周りの同級生たちがみんな大企業や資格業に就こうとする中で、サイバーエージェントに行くと言った時はとてもびっくりされました。
その判断ができたのも、当時からある意味「穿った」目で世の中を見ていて、既存産業の安定ではなく、成長産業で勝負できる立場になることの方が重要なんじゃないかと考えていたからです。
安易に周りのトレンドに流されるのではなく、「穿ち癖」を働かせて世の中の本質を見極め、自分のキャリアを選んでいくことが大切なのではないかと思います。
トレンドワードに流されるな
──Makuake(マクアケ)の創業から、現在に至るまでの道のりについてお聞かせください。
マクアケ代表取締役社長 中山亮太郎(提供:DIMENSION NOTE)
今思えば2013年に創業した当初は「クラウドファンディング」という、ある種のトレンドワードに踊らされていた部分もあったと思います。「クラウドファンディング」という横文字ワードを言うとすぐにメディアでも取り上げられ、本質と少し離れた事業の進め方をしてしまっていました。
自分自身もまだ未熟で、起業家として「穿ち癖」が弱く、自分たちの事業の本質が見抜けていなかったのです。