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ベンチャーが一朝一夕で得られないノウハウ


最近、DXというメガトレンドの登場もあって、従来型産業のアップデートが以前にも増して注目され、そこに挑戦するネットベンチャーも増えてきたように感じる。そのこと自体は喜ばしいことだが、実際のところ、印刷や物流、製造などの産業のデジタル化は、ネットノウハウだけでは成り立たない。
そういった産業の裏側には、必ず高度で専門的なオペレーションが存在しており、それはベンチャー企業が一朝一夕では得ることができないノウハウなのだ。

一つ例を挙げよう。私の会社には、「審査法務」という職種がある。「Makuake」は製品を本格的につくる前に先行販売できる仕組みなので、その製品アイデアが実際に完成するかどうかという実現性や、出品者による製品紹介で表現が景表法や薬機法などに抵触していないかを、多面的に事前チェックしているのがこの審査法務だ。そして、その中心的役割を担って活躍しているのが、従来型産業で法務的観点の経験を積んだ人材である。

モノづくり業界や金融業界の法務経験者、さらには裁判所勤務経験者などもいる。彼らがいることで消費者庁などからアップデートされる規制などへの対応がスムーズになり、最近の例だと次亜塩素酸水や珪藻土のルール変更などにも臨機応変に対応できている。

成熟した産業で磨かれているスキルは、その産業の中では似たスキルをもつ人も多く、活躍の場が制限されてしまいがちだ。しかし、それがDXを仕掛けている成長企業においては非常に貴重なスキルとなり、不可欠な力となる。

この先、デジタル化が難しい産業で成長するベンチャーが出てくるだろう。その時、DXの主役となるのは、エンジニアだけではなく、実はこういった従来型産業で高度に積み上げたスキルをもつ現場のプロフェッショナルたちなのだ。


中山亮太郎◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。

文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

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