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日本の新型コロナ・ワクチン接種率(100人あたりの接種回数、2回接種の人は2回と数える)は、OECD38カ国中最下位の状況が続いている。6月7日現在、主要国の接種率は、英国が101回、米国が91回、ドイツ66回、イタリア64回、フランス60回であり、日本の15回は、ひどく見劣りする。このような恥ずべき状況はなぜ生じたのか。しかも、東京オリンピック・パラリンピック(以下、オリ・パラ)の開催国である。

ワクチン接種が遅れている最大の理由は、厚生労働省が、過去のワクチンの副反応(副作用)の苦情・訴訟に対し、適切な検証や改善もなく、ワクチンの推奨を取りやめるなどの対応をしてきたことにある。これが国産ワクチン開発の遅れ、外国産ワクチン確保の遅れ、国内使用の承認の遅れにつながった。

今回は、ようやくワクチン輸入がどんどん進んで接種が進む段階に入っている日本の状況の評価と、オリ・パラ開催の条件について考えてみたい。

2月17日に、まず医療関係者に対して、4月中旬から、65歳以上の高齢者の接種が始まった。この段階では、市区町村に平等に配布して、ワクチンの供給に合わせて、徐々に接種年齢を引き下げていくと思われていた。しかし、供給日程が決まらないので会場の手配も難しい、接種の担い手の医師・看護師の確保が難しい、など市区町村から多くの不満が出た。高齢者の接種の終了時期の予想は市区町村間で大きくばらついていた。4月下旬の段階でも、市区町村が徐々に接種券を配布していって国民全員に接種が終わるのは、来年にずれ込む、と誰しもが考えていた。

ワクチン接種がもたつくなか、感染者数が再び増加傾向となり、4月25日から東京、大阪などに(3回目の)緊急事態宣言が発出され、国民の不満が高まった。オリ・パラを開催するために、医師、看護師などが(ボランティアというかたちで)動員され、国民の感染症対策がおろそかになる、関係者の入国で変異株が持ち込まれる、などの心配からオリ・パラ開催への反対が高まってきた。オリンピック選手へのワクチン提供も、国民を置き去りにするのか、という反発につながった。

文=伊藤隆敏

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