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世界各国への「警告」


オーストラリアでの「瞬間的な接触」による感染例の報告は、世界中のすべての国に対して発せられた警告だ。英国で最初に確認された変異株の「アルファ株」と比べ、デルタ株は感染者の入院率が2倍に上昇するとされている。

米疾病対策センター(CDC)が6月23日に発表したデータによれば、米国の新規感染者のうち、デルタ株への感染が確認されている人は約20.6%(この2週間前の時点では、9.5%だった)。全米で幅広く調査が行われているわけではないことから、実際の割合はさらに高い可能性がある。

デルタ株の感染拡大は、インドに壊滅的な状況をもたらしただけではない。モスクワでは先ごろ、1日の死者数が過去最多を更新。新規感染者の90%からデルタ株が確認されており、関連性が疑われている。また、ドイツでもデルタ株の感染者が占める割合は、2倍に増加している。

アフリカでは14カ国で、デルタ株が広がっていることが報告されている。感染者数は5月初めから5週間連続で、圧倒的な勢いで増加。6月に入ってからも21%増加している。

「重層的」な対策が不可欠


オーストラリアは「瞬間的」接触による感染例についても、厳格な検査や接触者の追跡、隔離という監視システムの下で管理している。だが、米国にはそのような体制がないほか、ワクチン接種率も頭打ちになっている。

米国でワクチン接種を完了した人の割合は、わずか45%だ。より危険なこの変異株に対し、国民の半数以上が高いリスクにさらされていることになる。12歳未満の子供たちは接種を受けることができず、一部の州は人口の3分の2が接種を完了していない。

また、7月4日の独立記念日までに成人の70%以上が1回目の接種を終わらせることを目指すとしていたバイデン政権は、すでにそれを断念したことを認めている。

「ワクチンのみ」でパンデミックを収束させることは、明らかに不可能だ。今後はこれまでの対策に加え、予防薬や治療法、さらに規模を拡大した検査とゲノム解析といった複数の方法を取り入れた戦略に、焦点を合わせる必要がある。そうすることで初めて、進化し続けるこのウイルスを抑え込むための、重層的な体制を整えることができるだろう。

編集=木内涼子

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