時代を読む、東京ホテルストーリーNo.10「東京エディション虎ノ門」

高い天井と大きな窓、壁や柱の無い空間は緑の植栽で仕切られている。大きなソファにゆったりと座り自由に過ごす寛ぎのロビー バーのソファ席。

性別・年齢を問わず、社会で活躍するエグゼクティブたちは、魅力溢れる東京のホテルをどのようにお使いだろう。せめて月に一度くらい、可能なら二度でも三度でも、誰にも邪魔されず、両手を伸ばして深呼吸をするために滞在するのはいかがだろう。

東京のホテルは、時に日本の伝統文化や江戸の粋が活かされ、また時には、都会的で斬新に、また最新鋭設備を纏い個性的に進化を遂げている。

別宅で過ごすようにゆったりと異空間に身を委ねる癒しのホテルも多々ある。まずは週末、金曜日の夜にチェックインを試み、日曜の午後までたっぷりと、夢想に浸るのも今どきのエネルギーチャージの流儀かもしれない。

ホテルジャーナリスト せきねきょうこ


都心のビジネス街のひとつである虎ノ門地区が変貌を遂げている。大きな変化が顕著に表れたのは2014年あたり。その年には、驚くほどのインテリジェントビル「虎ノ門ヒルズ 森タワー」が完成し、オフィスやホテルの未来的想像図が描かれた。

以来、この地区には相次ぐ華やいだ計画が進行しつつあり、虎ノ門はビジネス街から、すっかりエグゼクティブ好みのライフスタイル最前線のスタイリッシュな街と化し始めている。


東京エディション虎ノ門。スタイリッシュなアーバンリゾートを印象付けるエントランス。どこかストーリーを感じさせる雰囲気

そんな中、虎ノ門に新たにオープンしたのが、ラグジュアリーライフスタイルホテルとして注目の「東京エディション虎ノ門」である。開業は2020年10月20日、ホスピタリティ業界に革命をもたらしている、世界的クリエイターのイアン・シュレイガー氏の手掛けたホテルの日本初出店となった。

ブティックホテルの仕掛け人として、カリスマ的存在であるイアン・シュレイガー氏への狂信的なファンは、この新世代のホテルの開業を待ちに待っていたであろう。ホテルのオーナーは森トラスト、この「エディション」が、マリオット・インターナショナルの最高級グレードを誇るラグジュアリーホテルブランドであること、さらに、この先には同ブランドホテルが‘銀座’にもお目見えすると知れば、今後も追いかけないわけにはいかない。


ホテルロビー階にあるレセプション、レストラン、バー。写真はドラマチックな「Lobby Bar」のカウンター席。アフタヌーンティーやオーダーメイドのオリジナルのドリンク、軽食も可能なソーシャルスペース

東京エディション虎ノ門の内装デザインは、世界的な人気と実力、信頼を誇る建築家の隈研吾氏である。強烈な二人がタッグを組んで、スタイリッシュで個性的なホテルを造り上げた。館内には板壁の大和張り(大和打ち)工法や格子を随所に美しく使うなど、隈研吾氏の作品らしい日本伝統の要素が洗練されたデザインで採用されている。

ここでは、「仏寺からインスピレーションを得たパブリックスペース」とあるように、特にロビーエリアの二重天井を飾る格子使いや、館内に多く使われる白木の素材はとても「和」を感じる落ち着いた空間である。さらに温かな色の間接照明と相俟って空間が優しい印象なのも快適だ。

31階のパブリックスペースに使われる印象的なアクセントカラーにも新鮮な驚きがある。サファイアを想わせる輝きのある深いブルーを使った「The Blue Room」、1階のほの暗いバーの壁をゴージャスに飾るゴールドのアートなど、ホテルには様々な顔を持った空間が造られている。East meets westをコンセプトに、こうして西洋と日本の魅力を融合し、ホテル全体が美意識の高いデザインに仕上げられている。


「The Blue Room」ではカジュアルなでは雰囲気の中で食す美味しい料理に舌鼓。インターナショナルな定番料理にインスピレーションを得たオリジナルのクリエイティブな料理が提供される。朝食、ブランチ、昼食、夕食に対応
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文=せきねきょうこ

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