東京で味わえる バラエティ豊かな「中国の地方料理」の世界

高田馬場にある湖南料理店「李厨」の湖南風蒸し魚「剁椒魚頭(ドゥオジャオユィトウ)」


日本人が知らなかった本場のローカル中華


筆者は、彼女が飲食メディアに寄稿した食レポや料理の解説コラムから多くのことを学んだが、ここ数年、都内の中華料理の世界が急速に変化していることを肌で感じていた。

彼女のように料理に精通していたわけではないが、いま東京で起きていることの全体像をつかんでみたいと考えるようになり、コロナ禍のこの1年、都内のチャイニーズ中華を訪ね歩いてきた。

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これはチャーハンではない。「火焔山 新疆・味道」の中央アジア風炊き込みご飯のプロフ(中国名「新疆手抓飯」)

そのささやかな成果をまとめたのが、「攻略!東京ディープチャイナ~海外旅行に行かなくても食べられる本場の中華全154品」という案内書だ。

ローカル色豊かなチャイニーズ中華に対する関心が高まっているものの、都内に増えている店はまだ中国系の客が多く、一部の人気店や日本人向けにメニューを合わせた店を除き、日本人の姿はそれほど見かけないのも実情である。

だが、そこに行けば、これまで日本人が知らなかった本場の中華料理が味わえる。日頃親しんできた町中華とは異なる世界といっていい。日本にいながら、未知なる海外の味覚をこれほど豊かに体験できる時代になったことは驚きでもあり、興味深いことではないだろうか。


一見の店で中国語のみのメニューを読み解くのは簡単ではないが、海外にいるような気分になる

もっとも、それらの店でどんな料理が食べられるのか、われわれはほとんど知らないといっていい。せいぜいランチの定食や食べ放題メニューに載っている麻婆豆腐やチンジャオロース(青椒肉絲)、ホイコーロウ(回鍋肉)のような定番料理ばかりではなかろうか。

このコラムや書籍を読んで、チャイニーズ中華の店で食べられる魅力的な料理の特徴を知ることで、未知のメニューに挑戦しようという気持ちになってもらえたらうれしい。

今後もさらに新しい情報を仕入れ、これらの店が多い都内のエリアや料理の特徴、楽しみ方などを紹介していきたい。

連載:東京ディープチャイナ
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文・写真=中村正人

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