「私は会社の成長に自信を持っている。競合は価格の安さでユーザーを惹きつけているが、当社は質の高いプロダクトを提供することで差別化していく」と、彼はフォーブスの電話インタビューで述べた。
ディンドンは6月29日のニューヨーク証券取引所への上場直前に、IPOによる目標調達額を74%も引き下げた。同社は当初、3億5700万ドル(約395億円)の調達を目指していたが、410万株の米国預託株式を1株23.5ドルで販売し、9570万ドルを調達したと発表した。
ディンドンは5月に、ソフトバンクのビジョンファンドの主導で3億3000万ドルを調達していた。
同社の競合の「ミスフレッシュ(毎日優鮮)」も6月25日、米国で上場したが、初日の株価はIPO価格から25.7%も急落した。テンセントが支援するミスフレッシュは、上場により2億7300万ドルを調達していた。
目論見書によると、ディンドンの売上は昨年、パンデミックによる外出禁止の影響で17億ドルに達し、2019年の6億ドルから約3倍に急増したという。しかし、コストの増大で純損失は前年の2億9000万ドルから4億8500万ドルに拡大していた。
連続起業家であるLiangは、中国軍を退役した後、2002年に「Easy Video Joiner & Splitter」という動画編集ツールを開発し、子育てやマタニティのためのディスカッションプラットフォームのiYaya.comとMaMaBangを立ち上げ、2016年に教育企業のTAL Educationに売却していた。
彼が2017年に設立したディンドンは目論見書によると、29の都市に950のフルフィルメントセンターを設置し、30分以内の配送をアピールしている。
激化する競争
しかし、中国のフードデリバリー市場の競争は急速に激化している。調査会社iResearchによると、この分野では香港に上場する大手の美団や、アリババ傘下の十団(shihuituan)などがしのぎを削っている。
調査プラットフォームSmartkarmaのアナリストは、この市場での競争を、数年前に中国で起きた「自転車シェアリング狂騒曲」になぞらえている。当時はOfoやMobikeなどの大手が巨額の資金を調達したが、新規顧客の獲得のために、激しい価格競争に追い込まれた。
ディンドン創業者のLiangは、価格競争には巻き込まれないと宣言したが、目論見書では「競合他社が値下げをした場合は、当社も値下げを余儀なくされる可能性がある」と述べている。
「アマゾンやJD.comのような企業を見れば、当初の業績がどうであれ、長期的には株価が大きく上昇したことが分かる。当社には巨大な成長の余地が残されている」と、Liangは語った。