──このビジョンは中山さんご自身で考えられたのでしょうか?
弊社はカルチャー推進専任担当がいて、ビジョン言語化の旗振り役も担ってもらいました。
ビジョンが浸透し、ビジョンに対してメンバーが熱狂するにはどうしたらいいか。様々な施策考え、徹底的に実行していくのがカルチャー推進専任担当です。
この役割を任せる専任者を置くというのは、ただでさえ人が足りないベンチャーである我々にとっては大きな意思決定でした。ほかのベンチャーではなかなか真似できないことではないでしょうか。
しかし組織として「想いの編集力」を高めることが最重要だと考え、私が意思決定しました。おかげでビジョンやカルチャーが明確に言語化され、弊社の大きな武器になってくれています。
「想いの編集力」が起業家にとって重要だからと言って、必ずしも自分一人で言葉を考える必要はありません。想いを編集することの重要性を認識し、組織にその姿勢を根付かせていくことがトップとしての使命だと考えています。
ビジョンにワクワクしているか?
──組織づくりにおいて、非常にビジョンを重要視されている印象です。
「ビジョンを大切にしている」と言う会社は世の中に数あれど、その中でもマクアケは突出してビジョンを大切にしている自信があります。その特徴は、我々が掲げる行動指針「Makuake Standard」にも現れています。
「Makuake Standard」
・私たちにはビジョンがある。
・挑戦を愛し、自ら幕を開ける。
・技術に寄り添い、社会に価値を届ける。
・理解することをあきらめない。
・360°の成功にこだわる。
・ワンチームなプロ集団。
・崇高をめざそう。
普通は行動指針の1つめに「私たちにはビジョンがある。」なんて入れないですよね。ビジョンがあるのは当たり前のことですから。
しかし我々は行動指針の1つめにビジョンがあることを謳っている。それくらいビジョンを重要視して、あらゆる意思決定においても「ビジョンに紐づいているか?」が判断基準となる組織カルチャーになっています。
──人材採用もやはりビジョンドリブンで選考されているのでしょうか?
人材採用の際にも「ビジョンに共感していないのなら絶対に入らないほうがいい」と言い切るくらい、極端に振り切ってビジョン共感度を重要視しています。根底に「全員がビジョンに一歩でも近づけると思って努力している」という信頼があるからこそ、何か失敗や衝突があっても乗り越えられる。
「ビジョンにワクワクし続けていること」こそが働き方の理想像であり、遺伝子レベルで我々に染み込んでいるカルチャーなのです。
中山 亮太郎(なかやまりょうたろう)◎1982年生まれ。慶応義塾大学卒業。06年、サイバーエージェントに入社後、藤田社長のアシスタントやメディア事業の立ち上げを経て、2010年からはベトナムにベンチャーキャピタリストして赴任し、現地のネット系スタートアップへの投資を実行。13年、サイバーエージェント・クラウドファンディング(現 株式会社マクアケ)を設立し、代表取締役社長に就任。同年、産業支援のためのアタラシイ応援購入体験を提供するオンラインプラットフォーム「Makuake(マクアケ)」をリリース