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2021.06.30

勝負のタイミング 見極めのカギは「道ゆく人への想像力」|マクアケ 中山亮太郎 # 1

マクアケ代表取締役社長 中山亮太郎(提供:DIMENSION NOTE)


──勝負のタイミングを見極める上で、中山さんが実践されていることがあればお聞かせください。

これはあまり社内メンバーにも言っていないのですが、街中の人を眺める時間を意図的に作っています。例えば出張先の商店街をウロウロしたり、丸の内のビル前で数時間ぼーっと道ゆく人を眺めたり(笑)。

何をしているかというと、道ゆく人に対して想像力を働かせているんです。「この人たちはどういうライフスタイルなんだろう?」「この人たちは何が欲しいんだろう?」と。

抽象的な表現になってしまうのですが、そうやって想像し続けていると自分たちが思い描いているシナリオに無理があるか、それとも現実味のあるストーリーとして頭の中で想像できるか、自然と浮かびあがってくるのです。

もし現実味のあるストーリーとして頭の中で想像ができたなら、それが「勝負のタイミング」。

別にヒアリングしているわけではないのですが、街ゆく人を眺めて勝手に妄想し、タイミングを見極めるのが私のスタイルです。

──実際に現場を見て、シミュレーションするというイメージでしょうか。

マクアケ中山

マクアケ代表取締役社長 中山亮太郎(提供:DIMENSION NOTE)

そうですね。例えば、渋谷の人だけを眺めていても、渋谷の人は世の中的には少し先を行っている人たちなので、世の中全体を捉えることはできません。

同様に、ネット界隈で流行っているからといってそちらに飛びつくようなサービスは、トライアル経済の中だけに止まってしまって実体経済に入り込めないケースが多々あります。

色んな視点で想像力を働かせ、自分たちのやっていることがどういうものなのかを客観的に認識する。それが勝負の「タイミング」を見極め、世の中全体に広まるサービスを作る秘訣だと考えています。

──起業家にとって重要な素養の3つめとして「想いの編集力」という独特な表現をされています。この言葉を選ばれた理由について詳しくお聞かせください。

この言葉の裏にあるのは「会社は起業家だけで成り立っているわけではない」ということです。マクアケも創業から人が増えてきましたが、弊社に集まるメンバーはみな素直で成長に貪欲な一方で、「想い」に関してはひと際強いものを持った、ある意味頑固な人たちが多くいます。

この強い「想い」を持った人たちのベクトルを揃えるために、それぞれの想いを編集し、編み合わせていくことをやってきました。まさに「想いの編集力」と言った所以はそこにあります。

──目指す方向をトップダウンで示し、メンバーを引っ張っていく一般的なリーダーシップ像とは真逆の表現かもしれません。

トップダウンでベクトルを合わせようとすると、ある種の「想いの矯正力」が働いてしまいます。そうではなく、「想いの編集力」によってメンバー全員が自分の素直な想いを実現できる組織づくりを目指してきました。

その際に気をつけていたポイントが、会社のビジョンをメンバーの想いの“最小公倍数”にしないこと。そうではなく、“想いの掛け算”によって生まれるものにするよう意識しました。

そうやってメンバー全員の想いを紡ぎ、掛け合わせてできたのが「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」というビジョンです。
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文=吉田俊也 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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