ビジネス

2021.07.19 09:00

ラッパーのエイサップ・ロッキーが「Klarna」に出資する理由


クラーナのCEO兼共同設立者のセバスチャン・シェミャートコフスキにとって、ロッキーという存在はブランド戦略上で重要だ。“銀行らしくない銀行”であることを誇りにしている同社は、バブルガムピンクをイメージカラーとし、主要都市では、出資者のラッパー、スヌープ・ドッグがアフガンハウンドに囲まれている広告を展開する。

「クラーナは、50カ国以上の国籍を持ち、複数の言語を話し、ビジネスに対するアプローチも大きく異なる、多様性に富んだ人々の集団だ」とシェミャートコフスキCEOは言う。「我々のブランドは、その点を、すなわち親しみやすさと利用しやすさを表現したいと考えた。そして、そこに遊び心も加えたかった」


(c) Klarna

同社は、ゆるやかとは程遠い成長曲線を描いている。加盟店から徴収する3~7%の手数料を主な収益源としており、2019年から2020年にかけて売り上げは37%増の12億ドルに達した。アクティブユーザーは全世界に9000万人強。ナイキ、アマゾン、セフォラなど、25万社を超える加盟店において、1日平均200万件の決済を行っている。

後払いは浪費を助長する?


しかし、クラーナの「Buy Now, Pay Later(後払い)」モデルは、浪費を助長するとの批判的な意見も出ている。フィナンシャル・タイムズ紙は、2018年にクラーナをこう評している。

「金融危機から10年が経過した現在、借金という言葉をインスタグラム時代向けに書き換える新たなタイプの貸し手に、新しい世代が誘惑されている。その新しい世代のなかには、前回の金融危機時には小学校を出たばかりだった人もいる」

クラーナは、自らをクレジットシステムに対する解毒剤だと主張する。クラーナの担当者は、「新しい決済はすべて、承認される前に評価されるし、当社サービスを利用した買い物には金額制限を設けている。顧客がクラーナを利用して決済をするたびに、顧客の返済能力を再評価し、顧客が希望する支払い方法が、その時の顧客に適しているかどうかを評価している」と説明する。

さらには、顧客に未払い分がある場合は、それを支払うまで、クラーナの利用を禁じられるという。また同社では、債権者とは異なり、顧客に利息を請求することはほとんどない。


クラーナのCEO兼共同設立者のセバスチャン・シェミャートコフスキ (c) Klarna

これらの理由から、ロッキーはクラーナを、自身にとってこれまでで最高の出資先だと考えている。「とても積極的に関わっている。それは確かだ」とロッキーは述べている。

翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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