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2021.06.30 08:00

爆盛り、映え、お値打ち! 超ローカルスーパー「やまひこ」惣菜の秘密

やまひこのシャインマスカット、イチジク、桃のスムージー。旬の果物がドカンと盛られている。


──入社してからデリカ部門を希望したのですか。
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入社当初に、鮮魚と惣菜の部門で人手が足りないと聞いたので、漠然といろんなことが自由にできそうなデリカ部門を希望し、配属されました。作ることよりも、食べ歩きやデパート惣菜の盛り付けを見るのが好きで、食に興味があります。

自らインスタ担当を志願 ヒットのきっかけは



──インスタグラムの活用で注目されるようになりましたが、プライベートではもともと活用していましたか。

いえ、SNSに疎いので、LINEですら友達への返信が遅いタイプです。もともとやまひこ各店が、インスタグラムアカウントを持っていたんです。ですが、スーパーのお客様は40~60代の女性がメイン。私の目標はいつも「去年より、昨日より数字を良くしたい」ということです。新たな客層である20~30代のお客様にどうしたら来てもらえるかなと考えていました。
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当時、店のインスタグラム担当者は、惣菜を作っているわけではなく、写真の良い角度や可愛さ、思いが伝わりづらいと感じました。そこで社長に、自分でやってもいいですか?と許可を取り、2019年5月から、稲沢の本店(南大通店)で発信を始めました。

その頃、やまひこオリジナルのロゴを作りました。ある店舗の視察をしに行った時に、惣菜にロゴが書かれたシールが貼ってあり、一目でそこの商品だと分かるように並んでいました。デザインってすごいなと思って、自分で書体を考えてワードでやまひこロゴを作ったんです(笑)。そうすると、見栄えが変わって、SNSでも目立つようになりました。最初は、フルーツどっさり杏仁豆腐にロゴのシールを貼り始めました。

やまひこ
惣菜には「やまひこ」ロゴのシールを貼り、一目で分かるように

──いちごのスムージー「イチゴろう」やメロンシャーベット「メロンにメロメロ」など、ネーミングセンスも抜群ですね。商品開発で意識していることは?

商品名も私が自由に決めています。ふざけた名前で、お客様も言いづらそうですが(笑)商品開発では、特に3つの驚きを与えたいという思いがあります。

ネーミング、見た目、おいしさです。インスタ映えだけではなく、人の心が動くのはどんな時かを常に考えていたら、この3点が揃えば心が掴まれるのではないか、と思いました。食べ物において一番大切なのは、やはりおいしさです。見た目だけでなく、飲んだ時や食べた時においしければ、さらに感動を与えられると思います。

やまひこいちごのスムージー「イチゴろう」
いちごのスムージー「イチゴろう」

インスタグラムを始めて、いくらおいしい商品を作ったとしても、知ってもらわなければゼロと同じだと気づきました。インスタグラム上には、無数のいちごのスムージーが投稿されています。そんな中、見た目やネーミングの面白さで気づいてもらえたらと思っています。

──いまの反響について、率直にどう感じていますか。

商売って、恐ろしいものだなと感じています。明日確実にお客様に来てもらえることは保証されておらず、いつも不安です。やまひこの「ほぼ具おにぎり」は注目されていますが、類似商品は他の店でも出てきており、競合店が増えていくなかで勝っていくためには努力し続けるしかありません。
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文=督あかり

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