新型コロナワクチン、接種完了でも感染・死亡リスクは残る

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米疾病対策センター(CDC)によると、新型コロナウイルスのワクチン接種完了後に再び感染し、入院、または死亡した人は、6月21日までに報告されているだけで4115人にのぼっているという。接種の完了が感染を完全に防ぐわけではないことが、改めて示されたといえる。

CDCによれば、2回のワクチン接種を終えていても再び感染する「ブレイクスルー感染」として報告された人のうち、49%が女性、76%が65歳以上だった。また、18%は無症状だったという。

実際にブレイクスルー感染して入院、または死亡した人の数は、4115人にはとどまらないだろう。これらは報告された人の数に過ぎない。また、CDCは今年4月以降、入院・死者数は確認しているものの、ブレイクスルー感染に該当する感染者の追跡を行っていない。

「少なくとも4000人以上が再び感染している」と聞けば、かなり大きな数のように思えるかもしれない。また、たった1人でも死者が出れば、それが悲劇であることは間違いない。

だが、米国ですでに接種を完了した人の数は、1億5000万を超える。つまり、この報告されているケースは、ワクチンを2回接種した人の0.003%未満ということになる。ワクチン接種は有効に機能しているといえる。

新型コロナワクチンの有効性は種類によって異なり、70%から95%以上とされている。2回目の接種を受けた人のうち少なくとも5%は、再びこのウイルスに暴露すれば、また感染する可能性があるということだ。ただ、それでも接種を受けていない方が、重症化するリスクははるかに高くなる。

いずれにしても、ブレイクスルー感染に関するCDCのこの発表は、ワクチン接種を完了しても、まったく感染対策をせずに行動するのは賢明ではないということを改めて思い出させるものだ。

自分一人だけで暮らす島を買えるほどの大富豪でもない限り、パンデミックはあらゆる人にとっての脅威であり続ける。収束するまで、警戒を怠らず、自分の身を守るための行動を継続することが重要だ。

感染を防ぐための対策は、どれも穴が開いたスイスチーズのようなものだ。どの方法も、それ一つで完全に感染を防げるものではない。特に公共の場では、それぞれの対策方法が持つ穴を埋めるよう、複数の対策を講じる必要があることを忘れてはいけない。それらを同時に実践することが、それぞれの方法が持つ弱点を補ってくれる。

さらに、ワクチンがどれだけの防御効果を提供するかは、周囲にいる人の何割がワクチン接種を完了しているかに依存するものではない。あなたが他にどのような感染対策をしているか、あなたの周囲にどれだけのウイルスが存在しているかによって変化するものだ。

もちろん、こうした感染策が永遠に必要とされることはないはずだ。パンデミックの収束が宣言される日は、近い将来に訪れるだろう。だが、感染対策を緩める時期が早すぎれば、混乱した状況は続く。ウイルスの感染拡大が、ただ長引くだけになりかねない。

編集=木内涼子

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