ヘルスケア・イノベーションが、こうした多くの領域における問題を緩和するのに役立つ重要なソリューションを提供していることは間違いない。たとえば、2020年のパンデミックのただなかで「難局に立ち向かった」のが遠隔医療だ。隔離が義務付けられたり、社会とのつながりを断ったりせざるを得なかった状況においても、遠隔医療のおかげで、外出に不安を覚える人は必要な定期治療を受けることができた。実際、いくつかのリポートによれば、2020年の遠隔医療サービス規模は290億ドルという驚異的な額に達した可能性があると指摘されている。
デジタル医療は、注目度の面でも投資の面でも、最も目立つスタートアップ分野のひとつになりつつある。製品パイプラインは発展性があり、サービスや患者ケアのソリューションのほか、医療機器や新たな画像ツールといったハードウェア、新しいかたちの医療アクセスやリアルタイムのケア提供まで多岐にわたる。
また、AWSによるこうした取り組みは、アマゾンにとってまったく新しい領域というわけではない。実際、アマゾンはヘルスケア業界への進出を加速させており、将来的にはこの業界を動かす主要プレイヤーになる関心があることを示している。
重要な例が、患者への包括的医療の提供を目指した、比較的新しい遠隔医療プラットフォーム「アマゾン・ケア」だ。サイトの説明によれば、臨床医に24時間リアルタイムでアクセスできるほか、「患者の自宅を訪問した看護師による検査や予防接種、採血などの実施」や、「アマゾン・ケアによって処方された薬剤の配送」といったサービスを受けることができる。
もしこれまでの歴史が、成功例についてなんらかの妥当な指標を示しているとするならば、成長著しいデジタル医療市場に参入しようとするアマゾンの試みは、業界のゲームチェンジャーになる可能性がある。
AWSによるこの新たな取り組みは、突き詰めれば、デジタル改革はヘルスケア分野における次なるフロンティアだ、という新たな展望を示すものだ。今後、ヘルスケア業界の流れに遅れずについていきたいのであれば、企業や組織、政府機関はこうした取り組みに投資し、力を入れていかなければならない。