ファンド規模は5000万ドル(約55.3億円)で、第1号の投資先はカントリーミュージック界のスター、キャリー・アンダーウッドが2020年に設立したフィットネスとウェルネスのアプリ「fit52」になる。
Caravanは、2018年にCAAのジョイントベンチャーとしてスタートした。支援先には、SNSで6000万人のフォロワーを持つアカウント「ねこのナラ(Nala the cat)」のオーナーが立ち上げたキャットフードメーカー「Love, Nala」が含まれている。
Caravanは、ハズブロなどから1200万ドルを調達したが、追加で2500万ドルを調達し、より多くのブランドを支援していく計画だ(フォーブスメディアもCaravanに出資している)。
近年、多くの投資家がセレブブランドに関心を示しているが、Caravanの共同創業者兼CEOのLeonard Brodyによると、その傾向はパンデミックの中でさらに強まったという。Caravanはエクイティ投資も引き続き行うが、今回のファンドはレベニューシェア型のファイナンシングを行い、スタートアップの株式は保有しないという。
「従来のベンチャーキャピタルはエグジットによる投資資金の回収を求めるが、ブランドの多くはそれを望まない。彼らは永遠に事業を所有し続けたいと考えている」とClearcoの共同創業者兼CEOであるAndrew D’Souzaは話す。
有名人ブランドにはリスクも
一方で、事業を売却するセレブも少なくない。例えば、総合格闘技UFCのスターのコナー・マクレガーは今年初め、株式の過半を保有するウィスキーブランド「Proper No. Twelve」をProximo Spiritsに売却し、税引き前で1億5000万ドルを手にした。
3月には、ジェイ・Zがシャンパンブランド「アルマン・ド・ブリニャック」の株式の半分と、音楽配信サービス「Tidal」の株式の過半を売却し、6億ドル以上を獲得した。
ただし、セレブブランドにもリスクがあり、成功事例の陰には失敗事例も存在する。スーパーモデルのクリッシー・テイゲンが展開する調理器具ブランド「Cravings」は、最近まで全米の大手量販店で取り扱われていた。しかし、この2ヶ月で彼女にいじめスキャンダルが浮上し、大手百貨店のメイシーズはウェブサイトでのCravingsの取り扱いを停止した。
BrodyとD’Souzaは、セレブのソーシャルメディアやテレビ出演、マスコミ報道などをうまく活用することにより、リスクを上回るチャンスを生み出せると考えている。彼らはfit52以外の支援については明らかにしていないが、Caravanはセレブと共同での事業立ち上げを毎年6〜8件計画しており、今後数ヶ月で新たな投資案件を発表する予定だという。
「知名度が高いセレブとそのファン層と、世界水準のマーケティングやインテリジェンスを組み合わせることで魔法を起こすことができる」とD’Souzaは語った。