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2021.07.05

時流に乗り、米「コーチング」のスタートアップが初の資金調達

ザ・グランド 共同創設者アニタ・ホサイン=チョウドリー(左)とレイ・ワン(右)


ホサイン=チョウドリーは、副業としてコーチング企業「Reboot.io」のエグゼクティブ・コーチとなったが、2018年8月にはフルタイムになった。一方のワンは、Dorm Room Fundの若き創業者たちとともにコミュニティ意識の育成に取り組んだ。2人が、グループで行うキャリアコーチング・プラットフォームの必要性について痛感したのはそのころだが、2人はこれまで、ザ・グランドを自己資金で運営してきた。

「私たちはこのグループコーチングモデルが、人生を一変させる力を持っていることを知った。このやり方なら参加者は、心から理解を示してくれるグループの支えを得られるため、コーチングの過程で感じる孤独を軽減できる」とホサイン=チョウドリーは話す。

「ワンと私は、年齢もさまざまで、働く業界も住む場所も異なる人たちが集まって、必要とするピアサポートを十分に得られるプラットフォームとはどのようなものかを思い巡らせた。そうしてザ・グランドが誕生した」

コーチング/メンタルケアの市場動向


職業訓練とキャリアカウンセリングの業界規模は、2020年に約162億ドルに達した。2021年には、若干縮小して約159億ドルになる見込みだ。

バージニア大学ダーデン・スクール・オブ・ビジネスでリーダーシップ学を研究するトニー・アービング教授は縮小の要因として、この分野は他業界を支援する構造になっているが、自社従業員のリソースグループ(職場内で共通の特性や経験を持つ人たちが集まって問題を話し合ったり交流したりするグループ)に資金を投じる企業が増えつつあり、外部カウンセラーが料金を下げざるを得なくなる可能性があることを挙げた。

この分野については、コーチングとメンタルヘルスのサポート企業「ベターアップ」や、オンラインメンターを提供する「パス・ライズ」といった大手と、特定分野を専門とするフリーランスのコーチの両方が、業界のけん引役となっていることも特徴だ。


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雇用主が従業員のウェルビーイングへの投資を加速させる動きが見られる一方で、この業界では、まだVCの支援を受けていない小規模ビジネスが多い。ホサイン=チョウドリーとワンは、自分たちこそ、こうしたギャップを埋められると考えている。

Seven Seven Sixの創業パートナーで、オハニアンにザ・グランドを紹介したケイトリン・ホロウェイ(Katelin Holloway)は、こういったコーチングは往々にして、企業幹部でない限り料金が高すぎると指摘する。ホロウェイはこうした状況を十分に理解している。

レディットでピープル&カルチャー担当副社長を務めていたころに、スケールアップ可能な自動のキャリアコーチング・ソリューションをレディット従業員に提供する方法はないものかと、多くの時間を投じて模索した経験があるからだ。しかし、条件に見合ったプラットフォームは見つからなかった。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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