新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起き、ワークライフバランスをうまく取ることの必要性が激しく叫ばれると、オハニアンは、プロフェッショナルたちの成長支援分野にチャンスがあることに気づいた。「働く人のメンタルヘルスは、私たちにとって新しい分野だ」とオハニアンは話す。
「10年前、それどころか5年前を振り返っても、職場にはまだメンタルヘルスにまつわるタブーが多数存在していたと思う。今でも少なくはないが、コロナ禍をきっかけに、誰もがメンタルヘルスの重要性を痛感し、あまねく共感が生まれた」
レディット共同創業者でVCのアレクシス・オハニアン。妻はテニス選手のセリーナ・ウィリアムズ(Getty Images)
オハニアンのベンチャーキャピタル「Seven Seven Six」は5月20日、コーチングプラットフォーム「ザ・グランド(The Grand)」のプレシード・ラウンドを主導して240万ドルの資金調達を行うと発表した。ザ・グランドは、グループでキャリアコーチングを行うプラットフォームで、似たような職場経験を持つ人たちを結びつけ、共感を育むことを目的としている。
創業者二人の出会いは2015年
ザ・グランドは、現在36歳のアニタ・ホサイン=チョウドリー(Anita Hossain Choudhry)と、32歳のレイ・ワン(Rei Wang)によって、2019年に共同創業された。同プラットフォームでは、「育休後の職場復帰」や「キャリアチェンジ」などをテーマに、認定ファシリテーターがコースを開催しており、個人や企業が受講できる。料金は1200〜1800ドルで、各コースの定員は8〜10人。期間は3カ月間だが、ザ・グランドが主催するコミュニティやイベントへの1年間の参加資格も得られる。
これまでに20カ国500人を超えるプロフェッショナルたちが、ザ・グランドのコースを受講した。現在は、すべてのコースがバーチャル形式で実施されている。創業者の2人は今回の資金調達をもとに、B2Bサービスやデジタル商材、チームを拡充させたい考えだ。
ザ・グランドとしては今回が初の資金調達だが、2人はVCに精通している。ホサイン=チョウドリーとワンが出会ったのは2015年。米VC「First Round Capital」内の学生運営ベンチャーファンド「Dorm Room Fund」で、2人がそれぞれ知識責任者と最高経営責任者に就任したときだった(ワンはそのときの活躍が認められ、2018年フォーブス「30 UNDER 30」ベンチャーキャピタル部門に選出された)。