ワイン作りに欠かせない酵母 野生と培養の違いとは?

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野生酵母に頼らず培養酵母を買う場合、購入できる株の種類は数百に上る。カナダのラレマンドやデンマークのクリスチャン・ハンセンなどのバイオテック企業は頻繁に新しい製品を出している。

培養酵母は元々、世界のどこかのブドウ畑が原産地となっており、中には特定のブドウ畑原産であることが明示されているものもある。つまり、培養酵母も実際は自然のものであり、研究室で純化・培養されているだけであって、人工物というわけではない。

10~12年ほど前までは、培養酵母は全てサッカロミセス・セレビシエだった。しかしその後、サッカロミセス以外の酵母を使い、野生酵母の強みとされている複雑さや口当たり、こくなどを実現すると同時に、培養酵母のスピードや管理のしやすさを両立した製品の開発が進んだ。

クリスチャン・ハンセンが2009年に発売した「Prelude.nsac」は、サッカロミセスを使わない初の酵母製品となった。使用されたのはマスト(果汁)に存在する天然の酵母であるトルラスポラ・デルブルエキーだ。しかし、完全に発酵させるためにはサッカロミセスと組み合わせる必要がある。

また、アルコール度数が低いワインの生産方法が模索されていることから、糖分を全てエタノールに変えるのではなく、別のものに変化させる酵母を見つける試みも続いている。既に、一部の酵母が少量の糖分をグリセロールや乳酸に変えられることが分かっている。ただ、これにもまた独自の問題があり、さらなる研究が必要となっている。

編集=遠藤宗生

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