一方、世界的な金融の世界において、注目の年次株主総会といえば、世界最高の投資家といわれるウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの総会ではないか。
例年、世界中の投資家、約4万人が米国ネブラスカ州オマハという田舎町に駆けつけ、人口たった43万人の町はお祭り騒ぎになる。コロナ禍の影響で、今年は昨年同様、オンラインでの開催となった。
2014年以来、毎年このバークシャーの総会に参加しているのが、独立系資産運用アドバイザーでびとうフィナンシャルサービス代表取締役の尾藤峰男氏だ。今年の株主総会で、オマハの賢人は何を語ったのか。バフェット・ウォッチャーの尾藤氏に聞いた。
(左:ウォーレン・バフェット(90)、右:チャーリー・マンガー(97)写真提供:尾藤氏)
──今年は日本時間の5月2日に開催されたバークシャー・ハサウェイの2021年株主総会。昨年同様、オンライン開催になった
今年ははじめて地元ネブラスカ州オハマではなく、カリフォルニア州ロサンゼルスでの開催となりました。理由は、97歳になるウォーレン・バフェットの参謀、チャーリー・マンガー(バークシャー・ハサウェイ副会長)に登場してもらうため。
注目は、90歳になるバフェットとマンガーが二人で並び、投資家たちから寄せられる質問に答えるライブ質疑応答。時間は、3時間半以上にもわたった。
SPACは殺し屋だ
──今年はどんな質問が上がったのか
今、大変注目されているSPAC(特別買収目的会社)や投資アプリ「ロビンフッド」に対して言及した。SPACに関しては、「殺し屋(killer)だ」と強い言葉を使っていたのが印象的だ。SPACにせよ、ロビンフッドにせよ、ギャンブルに近いという感覚をもっているようだ。
大変興味深かったバフェットの言葉は、「自分は株の売買の仕方を知らない」と言ったことだ。いわゆる、一日に何回も売買をする「トレーディング」の仕方はわからないと。バフェットいわく、一日に何度も回転させるのはギャンブルだと。そして、彼自身は、投資というのは「資本を提供すること」であって、ギャンブルではないと述べていたのが印象的だった。
──世界一の投資家が、そのような投資哲学を持っているのは興味深い
彼は、株式投資をする人を「インベスター」とは呼ばず、「キャピタリスト(資本家)」と呼ぶ。つまり、社会に大きな富を生むために、資本投下するのであって、投資はギャンブルの道具ではないからだ。
また、ITバブル時同様、バフェットは変わらず、「自分が理解できないものには投資をしない」というスタンスを維持している。